二階堂大和甘やかしデー

「ただいま……」
「わ、お疲れ様……」
「名前ちゃん、見て。指全然動かねーの」
「えっ大丈夫なやつ!?」
「撮影所に手袋忘れちゃってさあ……はー、今日は歩いて帰りたい気分なんです……とか言わなきゃよかった……」
大和さんはポケットに入れていた手を見せてくれたけど本当に冷え切っていた。マフラーに埋もれた鼻の頭が赤く、トートバッグもトレードマークのメガネもずり落ちている始末。今日は特別寒かったけど、これはあまりにもかわいそう。両手を取ってあたためようとしたら、大和さんは「こっちであったまりてえ〜」と服の裾から手を突っ込んだ。思わずヒッと悲鳴が出た。

「大和さーん……」
「悪い悪い、あーあったけ……」
大和さんの冷たい指が私のお腹をなぞってそのまま背後に向かい、自分の指を温めるために腰のあたりで落ち着いた。すっかり甘えモードの大和さんの体は私に寄りかかり、横顔を胸に乗っけて落ち着く場所を探す。その拍子にメガネがカチャカチャと音を立てて、大事な眼鏡が歪んでしまうから私は大和さんの顔にぶつけないように気をつけてそれを抜き取った。レンズ越しでない大和さんの片目がこちらをみる。

「何見てんの」
「眼鏡外すとかわいーなと思って……ヒッ」
「意地悪言う名前ちゃんには意地悪し返さないとな」
「つっ、冷た……大和さん、背中はずるいよ……心臓止まるかと思った……」
腰から肩甲骨の間まで、大和さんの冷たい指が背中をなぞり上げ、その指を追って寒気がゾゾゾと這い上がる。思わず身震いした。いつもだったらもう!大和さん!ってすぐにやめさせるのに、今日の疲れ切ってヘロヘロの大和さんを見ると強く嫌だと言えないのだ。眼鏡を外したちょっとかわいく見えることもあり。そんなことも知らずに大和さんは「あーあったまるわー……」と胸に顔を埋めて、手慰みにブラの後ろを弾いた。

今日の大和さんは日の登る前から海で映画の撮影だった。完全新作の謎が謎を呼ぶミステリー、監督は画面の出来栄えにこだわることで有名だから、撮影が長引いたり、後日撮り直しになったりということはこれまでにも何度かあった。今日は天気予報のとおり寒かったし、海なら風も強かっただろう。夕方には終わる、と言っていたはすが、終わる予定よりもだいぶ遅くに帰ってきた。日が沈めば撮影はできないものと思っていたけど、難航したのか、捗ったのか、どちらかの理由で拘束時間がのびたことは確かだ。

「あ゛〜しもやけなる……あっつい風呂入りたい……ビール飲みたい……手だけあったかい……」
「ビールもお風呂もこのままじゃできないよ」
「いやもうちょっとだけ……」
大和さんはあ゛〜〜と無意味な発声をしばらくしたあと、「もう頑張れない……ここから一歩も動けない……」とグズグズごねだして、私のおっぱいに顔を擦り付けた。

「大和さん、ビールは?」
「うーん名前ちゃんが先……そのあと飲む……」
「そのあとっていつ……」
「うーん1時間後?」
大和さんは適当に言って、そのまま私をソファに転がした。げ、ここですんの……と思った私をよそに大和さんはよっこらしょって自分もソファに乗って、私のおっぱいを枕にしてうつ伏せに寝た。明らかに重量オーバーのソファは嫌な音を立て、遠くに大和さんの足がソファからはみ出ているのが見えた。

「あ〜いいにおいする……」
「嗅ぐな!深々と吸うな……!」
「あと5分……」
「絶対に嘘……!」
おやすみモードに入った大和さんに安心したのも束の間、寝るならせめて着替えてからと思ったけどこれはもう動かないやつだな……私は諦めて、大和さんがもぞもぞしながらいいポジションを探し当てるのを待った。

静かになった大和さんは本当にお疲れのようで黙ってうつ伏せで寝ていた。尻派かと思いきやしっかりおっぱいも大好きなんだよな……とあまり尻に自信のない私は複雑な気持ちで大和さんの後頭部を眺めた。お疲れなのを見越して、わざわざ大和さんの好きなぴったりしたリブニットを着て下着もつけたまま、おっぱいのホールド力ばっちりで準備しといた私も私ですけどね……

「大和さん、今お風呂入んなきゃ絶対入らないコースだよ」
「あとでなー」
「あとでって……大和さんいつも……ヒッ!」
再び大和さんの冷たい手が裾から入ってきて背中をさわさわ撫でてホックを探りあてた。弾くだけのさっきまでとは違って3段全部順番に、器用に外し、そのままリブニットもめくり上げられる。しめつけから解放されてほっと息を吐くも、顔を上げた大和さんと目が合った。

「もうちょっと」
「はい……」
疲れてても指先の感覚だけは確かで、それだけは間違えないんだね……思わず天を仰ぐと、大和さんが「よそ見してんの?」と拗ねた声を出して、露出した下乳をチュッと吸った。氷のように冷たくてこわばっていた指先は、いつもの大和さんの体温を取り戻して、私の脇腹をくすぐった。

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