家に帰るとジュピターがいる
>>家に帰るとジュピターさんがいる
「ごはんにする?お風呂にする?それとも……僕?」
「翔太……!!」
「あはは名前さんってば熱烈!」
「翔太……」
「うんうん、やっぱり僕だよね。わかってるよ、名前さん僕のこと大好きだもんね」
靴も脱がずに翔太に飛びつくと、翔太は「よしよし、えらいえらい」とお兄ちゃんぶって私の背中をさすってくれた。本当によくできた担当だ。
「おかえりなさい、名前さん」
「ただいまぁ……!ウッいいにおいがする……」
「今日はハンバーグですから。ほら、うちのスー・シェフがただ今仕上げ中」
「ハンバーグなんて久しく食べてない!嬉しいな……」
「それなら、早く手洗って着替えてきて。冬馬が張り切ったからきっとものすごくおいしいですよ」
「ウン……」
翔太を剥がし、玄関を通り抜ける。北斗はサラダを器用に4つ同時に運んで、我が家の決して広くはないリビングに消えていった。
「名前さん、早く着替えてきてよ」
「シェフに挨拶してからね」
「僕たちだけ先におかえり!したからきっと冬馬くん拗ねてるよ」
「そんなとこもカワイー」
キッチンを覗くと、冬馬が不機嫌な顔でハンバーグを皿に移していた。
「ただいま」
「……おかえり」
「先に翔太と北斗といちゃいちゃしたから怒ってる?」
「怒ってねえし、早く手洗ってこいよ」
「怒ってるじゃん……」
「怒ってねえし」
冬馬は自分の家みたいに手慣れた様子で調味料入れの引き出しを片手で探った。しらない調味料がまた増えている。しかしながら、そう、私の家である。さぞ自分たちの家のように寛いで家主のように出迎えてくれるが、一応私が借りてる部屋である。
「それにしてもキッチン、高さ合わないよね……」
「ふたりで入ると狭いしな。いっそ引っ越すか?」
「そ、それは君たち3人ついてくるということ……?」
「悪くないだろ?」
「わ、悪くない……むしろよい……」
冬馬は嬉しそうにふふんと笑って4人分のハンバーグを盛り付け終えた。
「おいしそう!」
「事務所で教わったレシピだからな。間違いないぜ!」
「大好きな冬馬が作ってくれたからきっと世界一おいしいよ」
「あんたの……そういう……そういうとこだぞ……」
冬馬がブツブツ文句を言って、でもほっぺが赤いから別に満更でもないのだと思う。キッチンカウンターに肘をついた北斗が「かわいいなあ」とにやにやして、翔太も「僕たちのこと、忘れないでよー?」とにやにやしたので、冬馬は「にやにやしてないでハンバーグ運べ!」と照れ隠しに怒った。おいしいごはんをいただいたら、引っ越し先探さないと。条件はもちろん、オートロック、2階以上、かつ彼ら3人と私がたむろしても狭くない部屋だ。
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