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昼休みになれば、昼食をすませたり、授業の復習をしたり、各々が自由に過ごしている。
葵ちゃんを探そうにも、休憩時間には教室に居ないし、ぶらぶらと校内探索をしていたが、見慣れた人物を見かけて、駆け寄る。
校舎の影で携帯電話を弄る剣城は内容も隠す気もないのか、こちらに気にせず、メールを打っていた。
内容は確認していないが、十中八九、フィフスセクターへの報告だろう。
隣で壁に寄りかかり、グラウンドに目を向ければ、入部試験を張り切ってる天馬や信助がサッカーをしていた。
ここからグラウンドは意外とよく見える。
「天馬くん達のこと見てたんだ」
「そんなわけないだろ」
「楽しそうだね」
「あいつらは何も分かってないだけだ」
それはそうかもしれないけれど。
理解していないからこそ、2人はこうして自由奔放なサッカーを楽しむことが出来る。それはとても素敵な事だが、入部後にその考えは通用しないだろう。
「それで、剣城くんは入部テスト受けないんですか?」
「免除された。それよりお前はこんなところにいていいのか」
「なんで?」
「もうすぐ授業が始まるぞ」
そう言って剣城の携帯に記された時間を確認すれば授業開始まで5分をきっていた。
「京介は?授業受けないの?」
「別にどうでもいいだろ」
「うわ〜、不良…。そんな不良の剣城くんにはノート見せてあげませ〜ん」
「別に見せてくれなんて一言も言ってないだろ」
階段を駆け上がる音が聞こえ、そちらに目を向ければボールを抱えた天馬がいた。隣には葵や信助も一緒にいた。
剣城の姿に気付いた天馬は複雑そうな表情を浮かべつつも彼に近寄る。
「あ!葵ちゃん、探したよ」
「芥ちゃん?」
探し人を見つけ、思わず駆け寄る。
あの時、葵が私の腕を掴んだ様に、私が彼女の両手を掴む。突然両手を掴まれたことに驚きつつも、こてんと首を傾げる。
「サッカー部、入ることにしたから!これからよろしくね」
「本当に?」
「だから放課後、一緒に入部届けを出しに行こう」
「うん!これから一緒に頑張っていこう!」
二人で盛りあがっていれば、紅緋色の髪を下ろした女子生徒が私の肩を叩いた。
「へぇ、あんたもサッカー部に入るのか!」
「えっと、どちら様で?」
「2年の水鳥先輩だよ」
「春咲芥です。よろしくお願いします?」
「おう、よろしくな!」
「うわ!」
水鳥はお辞儀をした私の背中を追い打ちするように、叩いてきたので、思わず転けそうになった。