大きな音と、人の群れ。気づいた時には見たこともない大きな波が私の背後まできていた。一緒に下校していたはずの幼馴染の姿も見えない。逸れてしまった。彼は大丈夫なのだろうか。
大津波が私を覆う。もうだめだ、と目をつぶった瞬間、暖かいものに包まれて浮遊感と共に大津波の上に浮かんでいることを実感するのに暫し時間を要した。
「どうやら、間に合ったようだな」
肩で息をしている彼は、人差し指で私のいる場所を指すとそれと同時に私も引っ張られるように移動した。夢のような、だけど夢じゃないそんな体験は私を、そして彼の運命を狂わせるのには十分な出来事であった。input
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