神様を信じるのに必要なことはなんなのか
マダムの持ってきた(マダムはやっぱり美人だった。)バタービールを前にしながら、45センチの距離を沈黙が支配する。いつもは彼がよく喋るので、沈黙が続くことは滅多になかった。

怒らせてしまった…?
でも付き合っていないのだからしょうがない。

そう胸に言い聞かせるも、重い空気に耐えきれず、目の前のバタービールをあおる。ふんわりとしたバターの甘さとシナモンのような軽い苦み。ホグズミード自体あまり来ない私は初めて飲むその美味しさに驚いた。
半分まで飲み、カップをカウンターに置く。するとするりとまるで蛇のように伸びてくる手。

「ついてる、」

くす、と小さな優しい笑い。口の周りを指が這い、リドルくんはペロリと手についた泡を舐める。その仕草が様になっていて思わず見とれてしまったが、我に返り顔に熱がたまる。

「あ、あの!」
「ん?」
「なんで、私に、告白したの」

思わず出た言葉に自分でもちょっと驚いた。


(わーおっ!)
(惹かれてるなんてことはない!)
katharsis