イヴはアダムと離れるか
少女と少年はひと気のない小さな公園でよく話をするようになった。自分の嫌いなもの、好きなもの、自分の力について。少女と少年の意見が交わることはほぼ皆無に等しく、少年はよく怒って帰って行った。けれど次の日、かならずいつもの時間に少年はやってくるのだった。

「ブラックはさー、短気だよね」
「お前が不愉快な事ばかり言うからだ。大体、ブラックというのも気に入らない」
「そんなこといわれても、名前教えてくれないのはブラックの方でしょー!」

少女は何故か名前も年齢も教えない少年に、自分とは違う黒髪からブラックと呼んでいた。少年は嫌がるが、名前を教えてくれないのだからしょうがないだろうと少女は思う。

「名前が嫌いなんだ」
「…ふーん」

孤児院で生活しているという少年に初めは少女にも同情という気持ちもあったが、話していくに従って少女の中で少年は大きくなっていった。いつかは離れ離れになるとしても、少女は側にいられるとそう思った、


(まいふれんど、)
(楽しい口喧嘩)
katharsis