+12 梵天軸/緩いSM
竜胆に指摘されて初めて、変わったのはオレだったってことに気づかされた。
早い話、見た目からしてオレをマゾヒストだと判断する奴は0だ。人数どころか確率も0。ぜってぇゼロ。その後の小数点とかない。だって めちゃくちゃサドっぽいだろ、どこから見ても。これはイキってるとかじゃなくて、客観的に見てそういう答えが出るのを知ってるっていう、ただそれだけの事実。
だってのに、最近のオレはちょっと変わったみたいだ。
『シャンプーきれた 買ってきて!』
名前からのメッセージになんか足りねえなと思って『いつものやれよ笑』と即既読即返信の連撃技を送り、次にくるだろう返信を待ちながら口角が緩むのを感じる。
『えーまた?』
『やれよ♡』
『いいからとっとと買ってこい豚』
最後に来た返信を見て、脳からなんかの汁がドバっと溢れ出た気がした。
最初は名前の、もうやりたくない、蘭を傷つけたくない、なんて言いながらイヤイヤこなす顔が好きだった。彼女にやらせることはサド側でも、精神的に言ったら命令してるオレがサドみたいな。それが最初は言葉だけだったのを、ちょっとした日常生活にまで組み込んで、更にはセックスへ影響して。
灰谷蘭は、1ミリたりとも認めたくないが、マゾヒストになっちまったのかもしれない。ことの成り行きはまあ、そんな感じ。
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パシッと軽快な音が鳴ると同時に、尻をぶたれた感覚がじんわり広がる。前までのオレだったら「ハイ確保♡」なんて言って名前を押さえつけて、謝られるまで耳責めとかしてたのに。今のオレは尻を摩ってニヤける始末だ。そもそもオレが変える前の名前はオレの尻なんか叩かないけど、まあそれはそれとして。
「邪魔なのー、おっきいおしりが!じゃま!なの!」
「そんなこと言うなって、オマエが揉んだり変なモン挿れてくるせいでデカくなったんだからな?」
たくさん買った食料で珍しくゴタゴタしていただけで、全く狭くないはずのキッチンの中、邪魔者扱いのオレ。それもオレ本体じゃなくて、デカい尻だけが鬱陶しいみたいな言い方。別に服越しに見たらわかんねぇし、触り心地は確かにふわふわぷにぷにになったかもしんねーけど、全然デカいまではいかないと思う。……いかないよな?
「人のせいにする悪い子どーこだ。自分がお尻でイけるド変態だっただけなのに私のせいにしないで、責任転嫁さいてー」
「ンッ!…………ったく……」
オレが名前に褒められるかも、と期待してTバックを履いていたのがバレバレだったみたいで、グレーのスウェット越しにTの上の部分を引っ張られ、金玉が柔く潰された。やべ、勃つ。この服勃起したらすぐバレんだよなぁ、違うこと考えて熱冷ますか。
空になった皿を重ねてから隣の女を見る。名前の頬を撫でながら、未だ飯を頬張ってる顔を見る時間が最高の癒しだ。うざったそうにこっちを見てくる目が特にイイ。
「いてッ、ごめんって、な?許して?」
仕返しと言わんばかりに頬を抓られ謝った。いつからか、許してと媚びるのもオレだけになってしまったみたいだ。でも下手(したて)に出ると可愛がってもらえるし、携帯やテレビもほっぽってオレに構うようになるから、名前の前でのプライドはゴミクズ同然だった。
「今日は首やんねぇの?機嫌いい感じか」
「窒息するのほんと好きだねぇ」
この喋り方も。前はふわふわしたタダの女っぽい話し方に聞こえてたのに、今では棘や毒を孕んだ、オレを品定めする妖艶な声に聞こえる。窒息が好きなわけあるかと思いつつ、この声でそう聞かれると肯定しかできなくなる呪いがかかってるらしい。まだ首に手もかけられてないっつーのに息が上がりそうだ。
「ぎゅー…………」
「あ……はっ…………が、あッ……」
じんわり喉が狭くなっていくのを感じて、顔に熱が集中するのがわかる。名前に殺されかけるのがきもちいとかやっべえ♡首の皮膚が寄せられて、喉仏をノックされて、昔教えた首締めのやり方をオレで試されて……♡苦しくてなーんも考えられねぇ♡
「かわいい♡……よだれ垂らして赤ちゃんみたい」
「ゴホッゴホッ……ン゛ッ……赤ちゃんには見えねぇだろ、はは」
「あれ?ばぶばぶでしょ? 」
言えるよね?なんて覗き込んでくる目が卑怯だ。オマエにそんな風に見られて断れるわけがねぇのに。ましてや「ご褒美あるよ」なんて言われちゃ堪らない。
アラサーのオレが歳下の女に喃語で喋るなんて、普通はありえないのに。
「ば、ばぶ……」
「んーよちよち♡…………え?それで終わりじゃないよね」
「ばぶ、ばぶ……っ」
「そっかそっか♡可愛いね〜♡」
「う、あー……♡」
今度こそ我慢できずにちんぽが勃った。布免責が少ないTバックからは当たり前にちんぽがはみ出て、先端の湿り気も全部スウェットに染み出てで、発情してんのがひと目でわかる。もっこりした上部だけが濃いグレーになってて恥ずかしい。昨日耐え症のない男だって笑われたばっかなのに。
「ねーこの前言ったよね?その年にもなってそんなちんちん元気なら、悪さしないようにリードつけて、飼い主に見てもらった方がいいよ」
「は……っ♡い、いってたなぁ、そんなこと……。それにしても、オマエほんとSに磨きがかかったなー?……アッ♡」
「話逸らそうとしないの。ちんちんだけじゃなくて頭も馬鹿だったっけ?」
ちんぽをペシッ♡って叩かれて、どんどん扱かれたくなってくる。ちんぽも頭もバカでごめんな♡でもオマエの前だけだから許してくれよ♡そう言いたいのに、名前の指が口内で暴れてなんも喋れない。
「んぁ……ん、ふ……んん……んちゅ」
「指おいしい?」
「ん、おいひっ」
「私のこと好き?」
「ふ、んんっ……しゅきッ……んぐぅ」
「じゃあ貞操帯つけていい?」
「……ん、ふぁい……んぅ」
ジェルで固まった髪を上から優しく撫でられる。ハイって言ってよかった。多分言わなかったら今日一緒に寝てもらえなかったな、撫でられンのも無しだったろうし。
いつの間にかオレが教えた以外の部分にまで、女王様気質が反映されてることが増えたけど、今のとこ特に問題はないから従ってい る。「それで上手くいってんのは兄貴がMだからだろ」というのは竜胆のお言葉だ。
「貞操帯っていうか、ちんちんに本当に首輪とリードみたいなのが付いてるやつなの。可愛いでしょ?射精もできるよ」
10代の頃の予想に反して黒ずまなかったピンクのちんぽが、名前の引っ張るリードに釣られてグイグイ動く。
黒い革がちんぽの幹にがっしりハマって、ミスマッチなレースがひらひらして。全裸で勃起ちんぽを犬みたいに扱われる最大の屈辱は、腹の奥に流れるマグマの素になり、いつまでも興奮が冷めやらない。
「ンッ♡んっ♡」
「腰だけこっち突き出してんのすっごい気持ち悪い♡手で顔隠してるくせにちんちんは丸出しなのもだっさーい♡」
「あ"っ♡あ〜♡♡」
玉が上がってくのがわかって、益々空ピストンが止まらない。名前に視姦されてちんぽがバカみたいにピクピク♡ってして、更にそれを見られて笑われて。大した刺激もねぇし亀頭もカリもノータッチなのにもう射精したい欲が半端ねぇ……♡
「蘭、お手♡」
「ん……?わん」
「蘭ちゃん?おーて♡はやく」
「え……?」
名前の視線がオレに一向に向かないどころか、絶対ちんぽしか見てないんだけど。蘭ちゃんってオレじゃなくて、え?オレ今日から本体ちんぽなの?
今まででいちばんの不恰好だ、と羞恥に耐えながら、低く差し出された手にちんぽを置く。勃起してるから手を使わないと無理があった。あ"ー♡名前の手きもちい……♡
「いい子だねー♡よしよし♡」
「あっ♡アーッやべっ♡♡はやいもっとゆっく゛りッ♡♡ちんぽきゅうにむWりWっ♡♡♡」
「蘭ってちんちんの皮めっちゃ動くよねー」
「だれと、くらべてんだよ、あッあぁっ♡♡りーどやだっ♡ひっぱんなァ♡♡」
「こーいう時のヤダはもっとして、なんだよね?前教えてくれたもんね♡」
「んん"んWッ♡♡♡はぁ……っ♡ア〜〜♡♡イイ♡もっとして♡あ〜〜〜ッ♡♡♡」
Sの習えを完璧に吸収した名前は、ヤメロと言うと続行し、もっとと強請れば笑って止まる。そのメカニズムを理解していながら、快感に溺れると頭を使った言葉が出せなくなって、もっとしてほしいのに馬鹿正直に言ってしまった。するとやはり名前の手は止まる。
「んっ♡ふ……♡なんでケツ揉むんだよ……♡♡…………っ♡あーーー♡はいってきた♡♡♡やべえそこっ♡♡ぉ"ッ♡♡お゛〜〜〜♡♡」
「白くてふわっふわのおしりカワイイ〜♡やっぱむっちりしたねぇ」
「ひろげんなよぉ♡」
「んー、じゃあ自分でひろげてね、それくらいもできないとか言わないよね?」
「い、いわねぇーからはやく……♡」
まだ尻揉みしだかれてる方がマシだったのに、それ以上に羞恥を伴う行為を強制された。にも関わらず、今から手で尻ン中ぐっちゃぐちゃにされると思うと、興奮で体が前のめりになって、名前との距離が0cmに。あーやばい、ちんぽ服に付けちゃった♡ぜってぇ怒られる……♡
「うわ、あとで穴に蓋しておこっかぁ」
「やっ、やだ!まって、それだけはヤダ、頼む。ごめんな?新しい服買ってくるから」
「おしり広げないならおしりにもディルド入れて放置するけど」
「は、はい……っ、でも、尿道だけは……!」
「……自分でアナルほじられやすいようにするのえらいね♡いい子いい子♡蘭ちゃんえっちで偉い子♡」
「名前……ッ、なぁっ、んん……」
汗のひとつも浮かんでない綺麗な首に、許しを乞うように頭を擦り付ける。でもダメだ。これじゃ近いうちに尿道を犯される……!
オレの思考が今すぐぶっ飛ばないように、アナルの皺をなぞっては軽く叩く意地悪さが今は怖い。サドは彼女の隠れた才能だったんだ。
「んぅー……っ♡♡ア゛ア゛ーッ♡お、ふうっ♡♡んひ、ひぅッ……♡♡おW……♡おぉ"ー♡」
「ブーブー言ってないで説明して」
「んひっ♡♡あ、あ"ッ♡いまなまえにスパンキングっ♡されま、したぁ……っ♡そ、れでぇッ♡♡ぜんり、っせん♡やさしくこねこね♡って"されててぇ……♡♡おWぉぉ……♡♡ほんきごえが、でてっ♡」
「そうだね。不快だから謝って?」
「んぐぅぅう……♡♡ごめんなさいっ♡き゛たねぇ、こ゛えきかせてぇ……ッ♡♡ウッ、オ゛〜〜〜♡♡♡イき"そぉッ♡なまえ〜♡♡」
支えが名前しかなくて足が震えるっ♡しりたぶ持って広げてるからどこも掴まれないのキッツい♡♡
あW〜〜〜♡♡♡ねっっっとり急所こねまわされんのいっちばんキくッ♡♡このまんまじゃ精子までぶっかけちまうのにッ♡
「ふふふ、あんあん♡きもちいね、ほら蘭。きもちいきもちい♡あ〜♡イくイく♡」
「やめて゛ぇ♡♡ほんと"にイく"がらぁッ♡♡♡もぉげんかいっ♡いく"からどいてくれよぉ……♡♡ふ、お゛…………ッ♡♡♡あ"ぁあ"ッ♡♡」
出る出る出る♡一生気持ちいの止まんなくなるやつくるッ♡♡ご主人様にドピュドピュ♡するとかありえねぇから♡りーど、リード掴んでちんぽ違うとこ向かせねぇと♡♡
「えーかしこ〜い!イっていいよ♡いっぱいトントンしようね、チューもいいよ♡」
「ふっ♡ん゛ん゛ん゛〜〜♡♡いき"ますっ♡んっ、んぅ♡♡きしゅで♡んぁ♡んちゅ♡♡あく゛めッ♡♡♡んあッ♡あぁぁ〜ッ♡♡ん!んっ♡なまえいく゛っ♡♡んんぅ♡ふぁ゛あッ♡いかせて♡いか゛せてぇッ♡♡」
「イけ♡」
「イっ………………♡♡♡ん゛ぅ゛う゛う゛〜〜♡♡♡♡んっ♡んぅッ♡♡はぁっ♡あW〜♡イ゛っでるッ♡ぐ、うぅう〜♡♡きしゅはめ、でイっだぁッ♡♡なまえのちゅーでぇッ♡♡♡……ア゛ッ♡♡」
たら……たら……♡と元気なく垂れる精子が名前の足と床にかかっていく。やらかしたのに腰ばっか振って謝れない。やばい、やばい名前にごめんなさいしねぇと……!
「お疲れ様。上手にイけたね、蘭は天才だね♡」
「ん、え……?ほんと……?ん、ちゅ♡」
「でも汚したから明日お仕置ね。今から喉の準備しといた方がいいんじゃない」
「え……」
口元が引き攣って冷や汗が垂れる。名前は足の甲についた精液をオレのふくらはぎに擦り付けて、粗方落とすと風呂に行ってしまった。
床掃除は当たり前にオレだけど、とっととシャワー浴びいったってことは、これお掃除できて偉いねって褒めてもらえねーやつだ。最悪。
しかも喉の準備って絶対明日絶叫系じゃん。イマジナリンドウに相談したら「アトラクションじゃねえんだから」って呆れた顔をされたけど、アトラクションなんかの何倍も声出るやつだかんな……。頭痛くなってきた。
取り敢えず名前が出てきたら許してもらえるように、掃除とベッドメイキングはしとくか。あと服もポチって。
今日一緒に寝てもらえっかな。
2020.3.5