365日ハロウィン
「ハッピーハロウィン。お菓子くれなきゃいたずらするよ?」
ここは足立さんの部屋。
私は足立さんにモデルガンを向けられながら、そんなことを言われている。
物騒だ。物騒というか行動がぶっ飛んでいる。
しかしお菓子は持っていない。どうしようか。
「キャベツ?」
「お・か・し」
あ、足立さんを怒らせてしまった。
引き金にかけている指に少し力が入れられた気がするけど、それ本物じゃないですよね?大丈夫ですよね?
「高校生ってお菓子持ち歩いてるんじゃないの?」
「みんながみんなそうだと思わないでください。そもそも足立さんハロウィンとか興味ないですよね?」
「へぇ。勝手に決めつけるんだ。名前が脳で作り出した僕はハロウィンなんて興味ないかもしれないよ。でも実際はどうだろうね。」
カチャと金属が音を立てた。
私に向けられたモデルガンらしき物の銃口は、額にぴったりとつけられたまま離れない。
これが本当に本当の本物のモデルガンなら私は助かるはずだ。
もし、本物の銃だったら確実に殺される。
「お菓子くれない名前が悪いんだよ。攻めるなら自分を攻めな。」
怖い。それ以外の感情がなかった。
私はここで死ぬ。
両目を強く閉じ次にくる衝撃に身を強張らせた。
「なーんてね。あ、びっくりした?さすがにお菓子貰えないくらいで怒ったりしないって!」
「...あ、は、ですよねー...。ははは」
ごめんごめんと足立さんの手が私の頭を撫でまわす。
「本当に殺すときは脳天打ち抜くくらいで終わりにしないよ。」
「...殺されないように頑張ります。」
足立さんの冷たい声が耳の奥まで響いた。
知ってる。1発2発じゃこの人が終わりにしないことぐらい。
足立さんは変わってるから。
変わってる。じゃ足りないと思うけど。
「名前、」
「どうしたんですか?」
「愛してる。」
どんなに歪んだ愛情でも、その言葉でまた溺れてしまう。
毎日がハロウィン。
そのひとことに尽きる。