11月11日
「じゃじゃーん!このお菓子なーんだ!」
「え、何ってポのやつ?」
「正解!11月11日だからね!」
やけに元気だと思えばそういうことか。
11月11日が某お菓子に見えるからという理由だけでここまで盛り上がれる精神がすごいと思うよ。
まっすぐな物ならなんでもよかったんでしょ?大根とごぼうでもいいじゃんそんなの。
「で、それどうすんの?」
「え、どうするって?食べる以外にないでしょ?」
多少なり期待した僕がバカだった。
てっきり某ゲームをするつもりなんだと思っていたけれど、彼女は純粋に食べるだけらしい。
「足立さんも食べる?」
本当に食べるだけ食べている。
学校で話題になったりしないのか?
単に僕の思考が古く、最近の女子高生はさらに上のゲームを始めているのだろうか...。
もしそうならそれはそれで気になる。
「うん...。」
袋から1本貰ってみたものの純粋に僕が食べてしまっていいものか...。
ここまでくると僕が欲の塊なだけじゃないか。しかし、諦めたくはない。
今時そんなゲームやる人いない。と笑われてもいい。僕は名前としたいからするだけだ...!
考えるよりも先に体は行動に出ていた。
名前の肩を叩き、彼女が振り返ると同時にチョコがついた美味しいほうを強引に口へと突っ込んだ。
「逃げないの。」
状況を理解したのか、後ずさりで逃げようとする名前の後頭部に右手を回し押さえつける。
僕も反対側を口へ咥えると、現実から目をそらすように名前が瞼を強く閉じていた。
ひとくち食べるごとに、僕と彼女の距離は近くなっていく。
なーんだ。逃げようとしたくせに案外ノリノリじゃない。
お互いの唇が触れるまであと3センチ。といったところで名前がうっすらと目を開けた。
のも束の間、あまりの顔の近さに驚いたのだろう。目を見開いたまま動かくなってしまった。
...さすがにやりすぎたかな。
かりっ。と音を立て僕と彼女の間を隔てていた物を噛み砕く。
その音で我に返ったのか名前の体が大きく跳ねた。
「大丈夫?」
「...じゃない。」
「ごめんごめん。まだ名前には刺激、強かったかなー?」
そう頭を撫でると、顔を真っ赤にした彼女と目が合った。
ねぇねぇ、どうしてクッション持ってるの?
嫌な予感しかしないんだけど。
彼女が叫ぶ5秒前。
「足立さんのばーーーーか!!!!」