バケモノに恋をした


※学パロ。教師と生徒


「あ、次って国語か...」

国語は特に好きではない。
でも国語を楽しみにしている理由がある。
担当の足立先生のことが好きだから。という不純な理由なのは大目に見てほしい。

「はーい、授業はじめるよー。」

と言いながら足立先生はダルそうに教室へと入ってきた。
ネクタイは曲がり、髪も寝癖が跳ねている。
ひとことで言うなら"だらしない"。

足立先生を見ているうちに授業が終わってしまうが後悔はしていない。
どんなに嫌いな学校でも、足立先生がいる。と思うだけで自然と足は動く、そして授業も受けられる。
それ、頭に入ってるの?という質問だけは却下させていただきたい。

「苗字話聞いてる?」
「は、はい!!」
「先生に見とれて話聞いてませんでした〜。って?なーんてね。冗談冗談。」

図星だ。先生ごめんなさい図星なんです。
こんな生徒でごめんなさい。
このまま問題なく授業が終わる。はずだった。

「はいじゃあ、今日はここまで。あ、苗字放課後職員室ね。」
「え...」
「じゃ、おしまーい。」

名指しで職員室来いだなんて...話聞いてなかったことにお怒りだったのか...。
いやいやお怒りだよ。先生だもん自分の授業聞いてなかったら怒るでしょ...。
...最悪な放課後になりそうだ。



言われた通り職員室の前まで来てみたけれど、職員室という場所が苦手でドアの前で立ち尽くしていた。

「お、苗字発見伝。本当に来るとは思わなかった。」
「あ、先生...って来いって言ったのは先生じゃないですか。」
「あれ、そうだっけ?なーんてね。じゃ、教室行くよ。」

そう話す足立先生の後ろを歩き教室へと向かった。
教室に入って早々適当に座って。と足立先生は言う。言われた通り席へ腰を下ろすと、1つ前の席に足立先生がやってきた。

「あ、怒ったりしないから大丈夫。補修でもないから。」
「ならどうして私を...?」
「苗字に聞きたいことあるから呼んだだけ。」

すると足立先生はイスを通常とは反対に座り、背もたれを肘置きにし私と目を合わせた。

「苗字、僕のこと好きでしょ?」
「...は、はい!?」
「その反応じゃビンゴってこと?」
「わ、え、、そ、その...」

バレてた。どうしてバレたんだ。いつの間に...。

「正直あれだけガン見っていうの?なんていうかこう、目で追われるっていうかさ、視線感じたらそうだろうなって思うよ。」
「そ、そう、ですよね...。」
「否定しないんだ。」
「...事実ですから。」

恥ずかしすぎて顔があげられない。
見すぎていた。自分でも気が付かぬうちに足立先生に視線を送っていた。そういうことなんだろう...。

「僕のどこが好きなのか知らないけど、教師の僕しか知らないのによく好きです。なんて言えたねー。あ、言ってないか。」
「それってどういう意味ですか...?」
「苗字は教師をしてる僕しか知らない。私生活の僕は知らないでしょ?それを知ってでも好きと言えるかは...ねぇ?」

なんだか意味深なことを言われている気がするけれど、私にはまったく理解できなかった。
その言葉の本当の意味を聞く勇気もなく、ただ呆然と聞いていることしかできない。

「ここまで言っても僕を好きでいるって思うならそうだなー...。卒業式までに僕を本気にさせてみたら?苗字の力で。」
「先生を本気に...ですか?」
「今の僕は苗字に興味ないからゼロからのスタートってこと。それで僕を本気にさせる。どう?楽しそうでしょ。」
「それ先生は本気で言ってますか?途中で嘘だったのに本気にしてたの?とか言いませんよね?」
「もちろん全部本気。何回でもアタックしてきたら?」

なんだかとんでもない人に恋をしてしまった気がする...。
校内イチのバケモノなんじゃないだろうか...。

「わかりました。その話、乗ります。」
「そう?じゃあ、僕のこと楽しませてよ。名前ちゃん。」

足立先生はイスから立ち上がりそう言った。
この話したかっただけだから。と何事もなかったかのように足立先生は教室から出て行ってしまった。

名前ちゃん、か。心のこもっていない呼び方だった。
いつか心をこめて私の名前を呼んでくれる日は来るのだろうか...。

私は知らない間にとんでもない人に恋心を抱いていたのかもしれない。




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