お掛けになった電話は、
「たっただいまー!」
今日はクリスマス。大切なあなたとパーティーがしたい!ってずーっと前から約束していた。
出会って初めてのクリスマス。楽しいものにしたいから、プレゼント交換しておいしいケーキ食べようね!って約束もした。
だからあなたが帰ってくる前に準備して待っていようと思ったの。
「遅いなー...。」
あれから時計が何周しただろう。
仕事が長引いているのかもしれない。
もしかしたら帰宅途中かも。
「電話してみようかな...。」
仕事中だったら出られないかもしれない。
だけど、帰宅途中なら出られるかもしれない。
その小さな可能性にかけてみたかった。
「お掛けになった電話は...」
電波の届かないところにあるか...と続く音声。
...あぁ、そうだ。あの人はもうここにいないんだ。
本当に電波の届かないところに行っちゃったんだよね。
現実から目をそらし、自ら耳を塞いでいたせいでつい忘れてた。
このケーキどうしようかな...。
「メリークリスマス。どこかにいるあなたへ。」
ひとくち食べたケーキは、
この世のものとは思えないくらいに
苦かった。