来世は羊になりたいそうです。
学校からの帰り道、前方から珍しく外国人観光客の人たちが歩いてきた。
わざわざここで何を見るのだろうかと思いつつ、はるばる海の向こうから来てくれたことに感謝するべきなのかな...とも思いながら横を素通りして家へと帰ろうとした。
けれど。
えくすきゅーずみー、なんとかかんとかやそいなばすてーしょん?
最悪だ。こんなことって実際にあるんですね。
英語のリスニングだってまともにできないのに、現地の方の流暢な英語を聞き取れるはずがない。
しかし、ここで私がこの方々を無視してしまったら全八十稲羽市民の評価を下げること間違いなし。
私、苗字名前は今、八十稲羽市を背負っていることになる。
つまりここでヘマをしたら八十稲羽の今後にかかわることが起こるかもしれない。
頑張れ私...!
「あ、あー、でぃすろーど、ご、ごーすとれーと!りたーんれふとさいど...うぉーきんぐ!!」
まずい。これは完全に通じていないやつだ...!
誰1人として目が笑っていない。
でもこの道まっすぐ行って左に曲がれば行けるんだって!!
「んー、えっと...。」
そーりー、しーきゃんのっとすぴーくいんぐりっしゅ。
聞き覚えのある声が私と観光客の間に割って入った。
その聞き覚えのある声は、ぺらぺらと英語を話し観光客も理解したようでその方向へと歩いて行った。
「足立さんは八十稲羽のヒーローですね。」
「何言ってんの?リターンレフトサイドウォーキングは今後も語り継ぎたいレベルだよ。」
「え、だって!」
「だってじゃない。盛大なごーすとれーとが聞こえて来たから何かと思えば...。」
「ごーすとれーとだけは自信があったんですよ!」
「あー、はいはい。あとで英語教えてあげるから。」
「ほんとですか!!」
やったー!これでまた頭よくなっちゃう!!
「それじゃ、僕まだ仕事あるから。気をつけてねー。」
「ありがとうございます!八十稲羽のヒーロー!」
「あ、そうだ。名前、will you marry me?」
うぃるゆーめりー?みー?
どういう意味だろう。
足立さんは意味を教えてくれないまま仕事へ戻ってしまった。
wii youってたしか未来がどうとか...。
めりー?羊?羊なのかなぁ...。
meは私...。
あー、足立さん来世は羊になりたいんだ。
でもどうして今それを?
んー、ま、いっか!
私の大好きな人は、この町のヒーローで、
来世は羊になりたいそうです。