HAPPY BIRTHDAY!!!


今日は2月1日。私にとってとても大切な日。
本人がどう思っているのかは知らないけど...。
学校は休みで、足立さんは夕方まで仕事。つまり足立さんの部屋に入り込んで準備ができる。
今日の私は運がいいのかもしれない。

AM11:30
ケーキを作るための材料を買い、足立さんの住む部屋に向かう。
合鍵を使って中に入ると、勝手に入ってしまうのが申し訳ないと思えてくるほど綺麗な部屋が広がっている。

「借りた場所は借りたときより綺麗にして返しましょう。」

たしか小学生の頃だっただろうか、先生がそんなことを言っていた。
いやいや当たり前のことなんだけど、足立さんの部屋が今現在最上級に綺麗な状態だとしたら、
ピラミッドの頂点に立てるくらい綺麗な状態だったとしたら、私は何を目指して綺麗にしたらいいの?頂点の上?大空?
...うん。大空を目指して綺麗にするしかなさそうだ。



PM17:00
気づいたらこんな時間。これまでの間に私が何をしていたのかと言えば
・ケーキを作る
・ケーキだけじゃ物足りないからとジュネスへ向かう
・高級とまではいかないけど良さげなお肉を見つける
・ウニの軍艦が入ったお寿司を見つける
・両方買った

をこの数時間でやってきたわけで、さすがにお肉とお寿司を買うとお金も飛ぶ。
財布の中が寂しいことになってしまった。バイト考えたほうがよさそう...。


PM19:00
扉の鍵を閉めて電気も消す。靴も隠して準備万端。
暗闇に身を潜め、耳をすませば聞こえてくる鍵を開ける音。

「...名前?」

なぜ足立さんは今、私の名前を呼んだのだろう。何か隠し忘れたものがあっただろうか。
そんなはずはない。それとも私の存在がバレたの?だって今、私ベッドに潜ってるんだよ?

「へー、僕に隠れて何してるのかなー?どこに隠れてるのかなー?名前ちゃーん?」

なぜか完全にバレている。
どうしてバレているのかはわからないけど、完全にバレている。

「あのさぁ、警察ナメないでほしいんだけど?」
「うわっ!!!」

突然耳元で声がして布団を押し上げるように飛び上がってしまった。
目の前には足立さん。もう隠しようがない。

「えっと、その....。おかえりなさい。」
「何してるの?びっくりしたよー。まさか名前がいるとは思わないでしょ。」
「あの、ご飯...食べませんか?用意してるんです。」

足立さんの横をすり抜けるようにキッチンへ。
予定が狂ったけどそんなことは気にしない。

「え、どうしたの!?」
「たまにはいいじゃないですか。今日は2月1日なんですから。」
「なに、何かあった!?」

テーブルに並べられたお寿司とお肉に驚いている足立さん。それも無理はない。
普段こんなに並ばないもんね、"高級"なやつ。

「なに、って...今日は足立さんの誕生日じゃないですか。」

足立さんの表情が変わった。意識していなかったというより、完全に忘れていたんだろう。

「え、あーそっか。今日2月1日?完全に忘れてたって言うか...もう自分の誕生日なんて意識しないって。」
「大丈夫です。嫌でも私が意識させてあげますから。毎年毎年お祝いしてあげますね!」

嫌そうな顔をしながらため息を吐いた足立さん。
なんていうか、足立さんらしいな。って感想しか思いつかなかった。

「私の手作りバースデーケーキもあるんです!ロウソク何本立てますか?」
「ケーキが火だるまになる前にやめたほうがいいと思うよ。」
「それはいやだなぁ...。とりあえず、足立さんお誕生日おめでとう!」
「ありがとう。いつ以来だろうこの感じ...。」

照れくさそうに笑う足立さんがなんだかかわいく見えたのはここだけの話。



「そういえば、どうして私がいるって気づいたんですか?」
「部屋に入ったとき、名前の匂いがしたから。」
「え?」


HAPPY BIRTHDAY!!!