甘酸っぱい味がした


「じゃじゃーん!足立さんいちごですよ!」

僕の部屋へ遊びに来た名前がいちごの入ったパックを持っている。
なんでも家にあったから一緒に食べたかったとか。
真っ赤に熟したいちごを、宝の山を見るように目を輝かせて見ている名前が可愛らしい。
僕といちごを交互に見ているということは早く食べたくて仕方がないということだろう。

「待て。もできないの?」
「ちゃんと待ってたじゃないですか。」
「食べたいって顔に書いてあるよ。」
「で、でもちゃんと待ちました!!」

図星だったのか動揺した名前がパックを手に取り僕の口元へと差し出してきた。
ん。...ん!!とだんだん力強くなる声色、これはさっさと食べないと機嫌を損ねそうだ...。

「何か言ってくれないの??」
「え、えっと...あ、あーん...?」

察しのいい子でよかった。名前が食べさせてくれたいちごは甘酸っぱくておいしい。
食べさせてくれたお礼に僕も食べさせてあげないといけないね。

「食べるよね?」
「食べますけど...自分で食べられますって、大丈夫ですよ?」

そんな名前の言葉は耳に入らない。
せっかく食べさせてくれたんだから、お礼させてくれてもいいじゃない?

「あ、あの、何するんですか?いちご持って...」
「何ってお礼したいだけだよ。食べさせてくれたお礼を、ね?」

パックからいちごを1つ取りヘタのあるほうを口に咥え、察しろ。と言うように名前と目を合わせる。
彼女が目を見開いた。ということは察してくれたんだね。
あとは言わなくてもわかってくれるのがこの子のいいところ。

「何もしないでくださいね...。」

ふう...。と深く息を吐き、意を決した名前はゆっくりと僕の咥えるいちごに口を寄せ尖っている部分を優しく咥えた。
あとは僕が小鳥に餌を与える親鳥のように彼女の口にいちごを落とすだけ。

「どう?おいしい?」
「...おいしい、です。」

そう言う名前の頬はいちごのように真っ赤になっていた。

「よくできました。」

彼女の唇に優しくキスを落とすと、さらに頬が赤くなった気がした。
それっていちごのせい?
それとも...



そのキスの味は、