心の底から、  。


ある日の夜、足立さんから電話があった。
出てみると声の主は堂島さんで、なんでもベロベロに酔った足立さんを迎えに来てくれないか。という内容だ。
私が行かないと堂島さんに迷惑かけることになる...。

行くしかないか...。
コートを羽織り、マフラーを巻き、手袋をつける。
足立さんのコートを手に...いや、寒いからさらに羽織ってしまおう。



「堂島さんこんばんは。...なんかあの、すみません...。」
「こっちこそ悪かった。...あとは頼んで大丈夫か?」
「はい。菜々子ちゃんによろしくお伝えください。」

堂島さんに軽く挨拶をしてからベロベロになった足立さんを起こそうと試みるも起きてくれそうにない。
せめて立ってくれないかと思いながら足立さんの頬を軽く数回叩いてみた。

「あーだーちーさーんー。」
「んー...」
「帰りましょう?さすがに寒すぎて帰りたいんですけど。私が。」
「...名前?」

足立さんが私の名前を呼ぶけれど、どうにも目がとろんとしていて本当に私だとわかっているのかは謎だ。

「帰りましょう?」
「...」

口を閉ざしたままの足立さんの手を引っ張り強引に立ち上がらせる。
私が羽織っていたコートを着せればいつもの足立さんが完成。


足立さんの手を引き歩いていると、ふいに足立さんが立ち止まった。

「...どうしたの?」
「迎えに来てくれたのが名前でよかった。」

月明かりに照らされた足立さんが悲しそうに笑うのに
抱きしめてあげることしかできなかった自分が




心の底から憎い。