なぜか家にいた小さいマガツのはなし


「足立さーん。あーだーちーさーん?」

足立さんに呼ばれたから来てみたけれど、インターホンを押しても足立さんが出てこない。
しかし、ドアが開いてるという恐ろしい状況。
電話も繋がらない、ドアを開けて中を確認すると靴がないことがわかった。
突然仕事に呼ばれたのだろうか...。

「おじゃましまーす...。って痛い!!!痛いっ!!!」

足立さんのお宅にお邪魔して早々足元に痛みが走った。
爪楊枝でちくちくされているような痛み。といえば通じるかもしれないけれど、本当にその痛みが今現在私の足に走っている。

「な、なに!?えっ!?」

足元を確認してみると、そこには見たことがある赤い物体。
あ、なんだっけこれ...ぺ、ペルソナだっけ?
でもなんだか小さい気がする。
足立さんのかっこいいやつ...。名前が出てこない...。

「ま、マカダ...違う...なんだっけ。って痛い!!」

名前をちゃんと言わなければ刺し続けてくるらしい。

「マガツ!!そうだマガツ!!い、イザ...イザナギ??」

あ、刺さなくなった。ということは正解らしい。
しかしどうしてここに...。
考えても仕方がないからとりあえずマガツくんを抱き上げリビングへと移動した。


「どうしてここにいるの?」

私の質問にふるふると首を左右に振ったマガツくん。
本人にもわからないということか。
ならなおさら私が考えたところでわかるわけがない。

「なら一緒に遊ぼう!実はね、足立さんみたいに、マガツイザナギ!ってやってみたかったの。
私がマガツイザナギ!って言ったらいつもみたいにやってほしいなー...なんて。...やってみてもいい?」

マガツくんはわかってくれたようで、深く頷いてくれた。
なんて話のわかるペルソナなんだ...。

私がマガツイザナギ!と言うたびにしゃきん!と音をたてポーズを決めてくれるマガツくん。かわいい...。
そろそろ足立さんみたいにできる気がしてきた。

「マガツイザナギ!!!」

ごつん!と音をたて、おでこに激しい痛み。私の横にはおでこを押さえている足立さん。
あれ、どうして目の前に足立さんがいるんだろう。さっきまで留守だったのに。

「いつの間に帰ってきたんですか?」
「いつの間にって僕ずっといたじゃない...名前が寝てたんでしょ?」

寝てた?いやいや私ははっきりと起きていた。マガツくんと一緒に遊んだんだ。
寝てたなんてそんな話あるわけがない。

「突然名前がマガツ...マガツ...って呻きだして心配になったから覗き込んだらマガツイザナギ!!!って飛び起きたんだって。おかげでおでこぶつけたし。」
「...なんか、ごめんなさい...。」
「でも、夢の中でも僕の家にいたってことは寝てる時も僕のこと考えてくれてたってことなんだよね?」
「き、きっとそういうことだと...」

頭の上に置かれた足立さんの手が私の頭を撫でまわした。
髪がぐしゃぐしゃになるくらいに。

「ちょっと!」
「    」

足立さんが口パクで何かを言った。私の勘違いでなければ
"ありがと"
と唇が動いていた。



...きっとだけど。