溶ける


「足立さん!!あーだーちーさん!!」

休みだから遅くまで寝ていたかったのに、耳に入ってくる彼女の声は僕を起こしたくて仕方がないらしい。

「なに、もう少し寝たいんだけど...。」
「ダメですって、外見てください!」

彼女がそう言うから仕方なく起き上がり窓の外を眺めれば、眩しいくらいに雪が降り積もっていた。
僕は興味なんてないけれど、この子は興味津々らしい。

「雪合戦でもしますか!」
「寒い。」
「じゃあ、雪だるま作りましょう!」
「寒い。」

君って何歳だっけ?幼稚園児並みの低レベルな言葉ばかり言っちゃって。
これで高校3年生って言うんだから驚きだよ。
そもそも受験前に雪で体調崩したらどうするの。それこそ大問題じゃない。

「あ、じゃあ小さい雪だるま作ってきます!」

彼女がこの雪の中軽装備で外に行ってしまった。
"小さい"と言っていたぐらいだからきっと扉の前にある雪で作っているんだろうけど。




「足立さん!...ってまだベッドに入ってたんですか?」
「当たり前でしょ。寒いんだから。」

こんな寒い日にはしゃいでるのなんて君ぐらいだよ。あの歌に例えるなら君は犬で僕は猫ってところかな。

「見てくださいこれ!」

彼女が見せてきた携帯電話の画面には雪だるまが2体並んでいた。
石で目を作ることもなければ、木の枝で腕を作ることもなく、何の加工もされていない純粋な白い雪だるま。

「どっちがどっちなの...これ。」
「左が足立さんで、右が私です。」

正直どっちも同じ外見じゃない。僕には違いがわからない。

「明日には溶けてるんじゃない?」
「だと思います。死ぬときは一緒ですね。」
「あのさぁ、溶けるって言葉知らないの?」
「片方が溶けたらもう片方も一緒に溶け始めて、一緒に死んじゃいますね。」

苗字名前という人間は恐ろしい。普通の高校生で頭がいいわけでもないのに平気でこういう発言をしてくるんだから。

「でも、」

彼女が小さな声でそう呟き、ベッドに入りこんできた。
どこか寂しそうな目で何かを訴えかけてくるけど、僕には何も感じ取ってあげられない。

「勝手にいなくなったりしないでくださいね?」

なんだそんなことか。でも、絶対なんて保証はできないよ。
人間いつ死ぬかなんてわかんないでしょ。それは君も同じじゃない。

「もし僕が高い場所から落ちて死ぬ。なんてなった時は、名前の足首掴んででも一緒に落ちてもらうからね?」
「1人ぼっちになるよりいいですよ。」





(途中から雪関係なくなっちゃった。)