星に願いを。
「足立さん、流れ星がみたいです。」
「うん。少し考え直そうか。」
星を見たいと言うのはわかる。しかし彼女は『流れ星』が見たいと言った。
流れ星なんて運が良くないと無理でしょ...。
「流れ星ならお得意のインターネットでいくらでも見られるでしょ?」
「生で見ないと意味ありません!」
何がなんでも流れ星を見たいと言うことだろう。連れていくのが嫌なわけではない。
ただ、見られなかった場合のことを考えると行動に移せない僕がいる。
「足立さんこれ着て!鍵もって!お財布も!」
パーカーと車の鍵と財布が渡された。何がなんでも行きたいと言うことだろうか...。そんなところが彼女らしい。
当の本人は僕のコートを勝手に着てニコニコと出発を心待ちにしているようだ。
これはもう行かないという選択肢はない。
「あーもう、わかったから!」
勢いに身を任せて鮫川の河川敷まで車を走らせた。ここなら星も見えるだろう。流れ星は、運次第...。
寒いから外には出たくないと言ったのは彼女。生で見たいと言っておきながらガラス越しなのはとりあえず置いておこう。
「そういえば足立さんは何をお願いするんですか?」
「僕がそういうのする人間だと思ってないくせによく言うよ...。」
知ってて言ったんですー。と彼女はそう続ける。知っているなら言わないでほしい。
そこまで言うなら君は、流れるかどうかもわからない星に何を願うの?
頭がよくなりますように。テストで良い点が取れますように。ちゃんと卒業できますように。
そんな自力でどうにかできる内容を星に願うなら僕、許さないから。
「流れ星が消えるまでに3回唱えるんです。その願いは誰にも言っちゃいけない。なので私の願いは足立さんにも言えません!」
手を胸の前クロスさせ、ダメなものはダメです!と言っている。
流れてくるやつ実際は塵だよ?なんて言ったら怒るだろうなー。なんてね、
「...あ!!」
「...あ。」
視線の先には流れ星。助手席には自身の指と指を絡ませて何かを力強く願っている名前の姿。
そんなに何を願っているのだろう。そういえば星はもう消えてるけど...まぁいいか。
君も同じこと願っていてくれたらいいのに。
君と一緒にいられますように。
なんて星に願ったりはしないけど。