星に願いを。
「足立さん、流れ星がみたいです。」
「うん。少し考え直そうか。」
流れ星が見たかっただけなのに考え直せと言われてしまった。
何かおかしいところがあっただろうか...。
「流れ星ならお得意のインターネットでいくらでも見られるでしょ?」
なんてことを言いだすの。いくら私がネットを使いこなしているだとかイマドキ人間だとかそう思っているにしても、流れ星を動画で見てどうのこうのしようと考えるほどバカな女ではない。今日である必要はなかったけれど、こんなことを言われたら今すぐにでも見に行きたくなってしまった。
視線の先には足立さんの車の鍵とお財布、私のそばにはパーカーが置いてある。
...これだ!!!
「足立さんこれ着て!鍵もって!お財布も!」
強引に渡し、私は壁にかかっている足立さんのコートを身にまといその場でくるりと回ってみる。ファッションショーみたいに。
どうせ私が何を言いたいのかなんてすぐにわかってくれるだろうから、連れて行ってください。なんて言わない。
「あーもう、わかったから!」
ほらね。
足立さんはほぼ勢いで連れてきてくれた、鮫川の河川敷から見える星空はとても綺麗。
寒いから外に出たくないとは言ったけれど、それを許してくれるのも足立さんだからなのだろう。
「そういえば足立さんは何をお願いするんですか?」
「僕がそういうのする人間だと思ってないくせによく言うよ...。」
「知ってて言ったんですー。」
足立さんがこんなおまじない程度のものを信じるわけがないんだから。
あ、でもあとになって何お願いしたの?って聞かれても困るから言っておかなきゃ。
「流れ星が消えるまでに3回唱えるんです。その願いは誰にも言っちゃいけない。なので私の願いは足立さんにも言えません!」
言えないものは言えない。言ったら叶わなくなっちゃうんだもん。
「...あ!!」
「...あ。」
視線の先には流れ星。私の声で足立さんも気づいたらしい。とにかく今は願いを3回唱えなければ。
足立さんと一緒にいられますように。
足立さんと一緒にいられますように。
足立さんと一緒にいられますように。
叶うといいな。
やってないのはわかってるけど足立さんも実は何かお願いしてるのかな?
名前と一緒にいられますように。
なんて願っててくれたら嬉しいんだけどね。