首輪
彼女は好奇心旺盛な性格だ。
いや、好奇心旺盛という言葉が彼女には似合わないから犬でいい。
蝶が目の前を横切れば蝶を追いかけ、鳩が目の前にやってくれば飛ぶまで追いかける。
まさに犬。
「あ!足立さんあれ!!」
今もこうして突然歩く方向を変えるどころか、思いもよらない方向へと走っていく。
2人の間を繋ぐこの手をリードと例えるならば、本当に彼女は犬なのだ。
「名前、急に走るのやめてくれる?」
「目の前におもしろいものあったら興味わくじゃん。足立さんだって目の前に安いキャベツあったら走り出したくなっちゃうでしょ?」
...わからなくもないけど。せめて走るときは走ると言ってほしい。
急に立ち止まるのもやめてほしい。
「あ、」
考え事をしている間に彼女の姿が見えなくなった。
...どうしてこう勝手に歩いて行っちゃうかなぁ。
とは言っても、すぐ見つかる場所にいるからあまり強く怒れないんだけど。
「名前!」
「うわっ。びっくりしたー。どうしたの足立さん?」
どうしたのじゃない。誰のせいで僕が1日頭を悩ませていると思ってるんだ。
「決めた。首輪とリード買おう。」
そんなに驚いた顔しても無駄だって。
僕のそばから勝手に離れる君が悪いんだよ?
しょうがないじゃない。
君は、犬なんだから。