ご褒美は、、、
とある日の昼間。
学校が休みで足立さんと2人ごく普通の時間を過ごしていた。
ごく普通の時間。とは言っても、何もせずただ時計の音が寂しく響き渡っているだけだった。
何かやることはないだろうかと考えてはみたものの、何も浮かばない。
視線の先では足立さんが暇そうにしていた。
片手があいている...何かイタズラできるかもしれないな。と思いその手を両手で包みこんでみた。
が、何も考えずに行動してしまい足立さんの手に触れたまま動くことができなくなってしまった。
恥ずかしすぎて顔はあげられず、これじゃ完全に怪しい人だ。
「名前...?僕、何かした...?」
足立さんの声が完全に心配している。
違う違うそんなことはないんです。でも何も言うことができない。
私は足立さんの顔も見ずに首を横に振った。
−足立さんの握手会です。−
この雰囲気でこのセリフは言えるわけがない。
これを言ったらただのネタにしかならない。
もっと、もっと何かあるでしょ私!!
「...突然どうしたの?」
また心配させてしまう。
こういうときは何を言えばいいのか...
あ、あれだ、あれを言えばいいんだ。
しかし私がそんな言葉を?
無理無理無理!!
「...あの、あ、あの...あの...」
どれだけ動揺してるんだ。
これじゃただの壊れたCDじゃん!
今はとりあえず足立さんを安心させなければ...!
「あ、だちさん...」
「ど、どうしたの!?そんなに顔真っ赤にして!!!」
そんなに赤くなっていただろうか...
落ち着け私、今がチャンスだから大丈夫だから...!
「あの、えっと...」
「とりあえず落ち着こう?」
「だ、大丈夫です。む、むむ、むしろ今じゃないとダメなんです。」
「ど、どうしたの...」
私は足立さんまで壊れたCDにするつもりなの?
違う違う...
今しかない!!
「あだちさん。...愛してます。」
絶対顔真っ赤だし、手は震えてるし...。
誰かに愛してるなんて言ったことないからこれでいいのかわからない...。
とりあえず今はこの場から逃げ出したい。この熱い顔面を隠したい。
穴があったら入りたいとはこれのこと。
「おいで」
足立さんが両手を広げ優しくそう言ってくれた。
私にはその胸に飛び込む以外の選択肢なんてない。
そこに飛び込めばこの熱い顔面を隠すことができる。
それだけだった。
「緊張した?勇気出したね。」
「よくできました。」
足立さんの声が優しくて涙が出そうになった。
頑張った私へのご褒美は
これだけじゃ足りないよ。
ご褒美は
...まだ秘密!!