03

昔、愛した人に突然会ったのは、ダイヤゴン横丁。
私たちが始めてであった場所だった。

数年前の戦争で、散り散りになり逢うことを諦めていた私にとって、まるで夢のようなことだった。
今でも彼を愛している私にとって、涙がこぼれてしまいそうなくらい、嬉しくかつ運命を感じた。


そして彼に食事に誘われ、招かれたのは隠れ穴と言うところで、オッタリー・セント・キャッチポールという村のはずれに位置していると、漏れ鍋に歩く間に、ジョージが教えてくれた。


「おかえり、ジョージ!」


暖炉からでると、恰幅のいい中年の女性が迎えてくれた。



「ただいま。」と抱き合うと、今度はジョージの後ろに隠れていた私に視線が向いた。


「あらこちらは?」


ジョージの陰から顔を覗かせた女性にペコリと頭を下げると、ジョージの隣に並んだ。



「あぁ、彼女はアリサ。
この前ビクトワールが話してたろ?」
私がするよりも早くジョージが自己紹介を言ってしまったため、「はじめまして、Mrs.ウィーズリー。」と言う言葉しか残っていなく恐る恐る笑顔を浮かべた。

するとウィーズリー夫人の表情が、見る見るうちにぱぁっと明るくなると、両手で私の手を包み込むように握りしめた。


「まぁ、あなたが!
ビクトワールがお世話になっているみたいね。」
「あ、いえ。
とんでもないです。」
「まあ、謙遜なんてしなくてもいいのに。」
「ママ、日本人は謙虚なんだ。」

なにやら照れてしまい、首を左右に振ると、ウィーズリー夫人はまたもにっこりと笑ってくれた。


隣てニコッと笑ってくれたジョージに、ホッと胸をなで下ろしふぅと深呼吸を一つ漏らした。



「今日は月に一度の家族で食事をする日なの。
たくさん食べていってね。」


またキッチンに戻っていくのであろうウィーズリー夫人の後ろ姿を見つめながら、ハッとした。

家族で食事をする日?
そんな日に私が来ていいの?

いいえ、いいはずないわ。
家族水入らずだもの、じゃましちゃダメよ。

「ジョージ、私やっぱり帰るよ。」
「…どうして?」
「家族水入らずを邪魔できないわ。」

せっかく月に一度しかない機会を、私のような他人が入るわけにはいかない。
ジョージとはもっといたいけど、彼の家族に迷惑はかけられない。


そう言うとジョージは、どこかホッとしたように微笑み笑い、私の肩に手をおいた。



「平気さ。
ハリーだって、ハーマイオニーも来るんだぜ。
それに君が邪魔になるはずないだろ!」
「え?」
「だから行こう。」

力強い言葉をもらった私は、彼に手を引かれ共にリビングへと歩き出した。



「…アリサ?」


リビングに姿を見せると、ウィーズリー家みんなの注目を集めた。それにジョージの言ったとおり、ハリーやハーマイオニーの姿も見える。

香ばしい香りが漂うリビングで、おいしそうな料理が並ぶテーブルを囲んで座っていた。


「こ、こんにちは」


恐る恐るそう言うとガタンと音がして、手前の席にいたハーマイオニーが立ち上がった。

え?と不思議に彼女を見ていると、私の目の前に歩いてきたハーマイオニーにそのまま抱きしめられた。



「…ハーマイオニー?」

「アリサ!
久しぶりね。」


ギュッとと抱きしめるハーマイオニーの肩に手を回し、「そうね。」と小さくうなずく。
ビクビクしていた心臓が、彼女に抱きしめられたことで、どんどん静かをなっていった。



それから、美味しそうな匂いにつられて二階から降りて来たのはビクトワールと、その両親。

「どうしてMs.アオイがここに?」
「え?Ms.アオイ?
まぁ!娘がお世話になっています。」
「私実はジョージとは同級生で」
みたいな話をビクトワールとその母フラーに初めからする羽目になった。





「ロンから聞いたわ。
ホグワーツで魔法薬学を教えてるんですって。」

スープを飲みながら、隣に座っていたハーマイオニーが興味ありそうにいった。

「えぇ。」
「しかも最高の教師なんだろ?」


その話に、ハーマイオニーの隣に座っていたロンが、もぐもぐとチキンを食べながら続ける。


「そんなこと誰に聞いたの?そんな事ないわ。」

フリフリと頭を振ると、「またまた謙遜するなよ。」とニヤリと笑ったジョージにポンと肩を叩かれた。


…謙遜なんてしてるつもりはないんだけど、ものすごく誤解があるのは確かだ。
それに、みんなが言うほど私はすごい教師ではない。
ただの平凡な魔法薬学の教授だ。
取り柄のないただの魔女。


「そうよ。
あなたは一年生から魔法薬学が得意だったじゃない。」
「ハーマイオニー、やめて」
「そうさ!
あのスネイプを黙らせた時なんて、今思い出しても笑えてくるよ。」
「ジョージ!」


チキンを頬張りながら、ケタケタ笑うジョージに密かに肘鉄を食らわせ、続けてパンを口に詰め込む。

「もがっ」

黙らせたジョージが、パンをモゴモゴと咀嚼して、つい学生時代を思い出したと同時に、ここがジョージを家だってことをすっかり忘れて、恐る恐る周りを見れば、ウィーズリー夫妻が何故かにっこりと微笑んでこちらを見ていた。


「それにしても、ジョージがこんな可愛い子を連れてくるなんて。
やるなぁ、ジョージ。」
「うるさいぞ、ビル。」
「でも、ジョージとアリサは恋人同士なのでしょう?」
「え?」


不思議そうに言ったビクトワールの言葉に、一瞬フォークを落としそうになった。

そして、ハーマイオニーがなんとも言えない表情をしていたのが分かった。



「Ms.ウィーズリー、違うよ
私たちはお友達」

そう微笑みスープを掬う。



今の言葉に耳をふさぎたいと思ったのは、まだ彼を好きだからだろうか。
(私を哀しくさせるのは、昔恋人同士だったという事実と、いまでもと、いう思い。)
(あなたに愛する人はいますか?)