リレー
先生の言った通り、Cブロックのリレーメンバーは、空き教室に集められ、先輩や後輩とはじめて顔をあわせる。
というか、同じクラスの赤葦くんとも、このあいだ初めて話しただけで、初対面同様。めっちゃ気まずい。こう見えて私人見知りなので。
とりあえずジャージ着てけと、担任に言われた通り、指定のジャージに身を包み、若干の気まずさを纏いながら、2人揃って特Bに向かう。
「リレー経験は?」
「ないに等しいけど、体育祭とかではよく選ばれる。」
「なんだベテランかよ」
「…え?いや、違うだろ」
「よく選ばれてるならそうでしょ。」
戯けて彼を見上げれば、難しい顔をして考えるような表情を浮かべて私を見ている。
あからさまに納得できないって顔をしているわ。
「そうかな?」
「少なくとも私よりは」
「足速いんでしょ?初めてじゃないだろ。」
「…まぁそれなりに」
そうだけど。
「俺だってそれなりだよ」
「それなりで、クラス1位?」
ニヤリと笑って彼を見れば、あからさまに面倒臭そうな顔をしていて、思わず笑ってしまった。
「まだ、引っ張るの?それ。」
「あは、ごめんね」
ヘラヘラ笑いながら、いつの間にかついていた特Bのドアを開けると、すでに数人がもう集まっていた。
とりあえず集団から少し離れた一番端の席に陣取って、始まるのを待つ事にする。
「えーと、3年の木葉です。このメンバーのリーダーをやらせてもらうことになりました、どうぞよろしく。」
前に出てきた先輩は、3年生のリーダー。色素の薄い紙をした目の細い先輩だ。
「とりあえず、カラー対抗リレーは、男子4人女子4人ずつで、50m交互に走ってもらいまーす。」
集められた青チームのリレーメンバーを仕切る今回のメンバーは、タイムの早い順にきまり、3年から3人と、1年2人に2年は私と赤葦の8人プラス補欠。
「んじゃ、とりあえずメンバーはこれで。よろしくー」
先輩が、ゆるーく話を進めていく姿を眺めていると、こっちを見たリーダーの先輩が、「赤葦ーと、もう一人の2年ちゃん」仕切っていた目の前に先輩がいた。
「はい。」
「…え?」
それは、私のことかな?
「このあとさ、一回走ってみないかって話になったんだけど、あいてる?」
「俺は、大丈夫ですけど」
「君は?」
「私も大丈夫です」
「おっ、マジ?じゃあ、1時に校庭に来てなー」
「わかりました。」そう言って去っていく先輩は赤葦くんにニヤリと微笑み、それに対して彼は安定のポーカーフェイスだが、雰囲気からは面倒臭さが漂っていた。
そんな光景を眺めながら、まったくえらい種目に選ばれてしまったものだと、今更になってかなり後悔した。
練習とか、すんのね。
「今の先輩は知り合い?」
「うん、部活の先輩」
「…赤葦くん何部なの?」
「バレー」
「マジか、ポジションは?」
「セッター」
「おー、セッター。」
セッターって言ったら、チームの司令塔。しかも、従兄弟と一緒か。むこうは3年で正セッターじゃないらしいけど、十分うまいと思う。というか、他校の正セッターより断然うまいと思う。
赤葦くんが、どこまでなのかはわからないけど、練習に付き合わされた私が言うのだから、間違いないと思う。
従兄弟がするのを思い出して、アンダーハンドのように手を組んでみる。
ボールを弾かせるだけで、よくあんなに正確なトスを上げられるよね、まったく。
「バレーやったことあるの?」
「少々かすったくらいかな。」
「ふーんかすったんだ。」
「何。」
「別に。もどろっか。お昼食べないとね、1時から練習らしいし。」
「そうだね」
赤葦くんに続いて私も立ち上がり、いつの間にか誰もいなくなっていた特Bを後にした。