昨日で黒尾に頼まれていた練習期間も終了し、悠々自適な休日を満喫すべく、昨日の帰りにお菓子とアイスを買い込んだ私は、リビングにセッティングされたSP4を立ち上げる。
先日までの久々のバレーで、私の腕と足はまさに筋肉痛で、階段を下りるのが一苦労だった。
《あ!緋色さんすか!》
「…て、リエーフ?どうしたの?」
《今日も練習見てください!》
「は?いや、頼まれてたの昨日までだし」
《お願いします!
あ、ほら、古賀っちも!緋色さんと繋がってるから!》
遠くの方で、リエーフが他の一年生の名前を呼んだと思えば、《朝早くにすみません。古賀です。》なんて控えめな声で話す彼は、GW居残り組の一年生だ。
「お、おぉ、おはよう。」
《おはようございます。
いきなりですみませんが、椎名先輩。今日も練習に来てくれませんか?》
「え?」
《やっぱり、俺たちだけじゃどうすればいいのかわからなくて…。》
古賀くんが話した後に数秒間無言の間に、コソコソと話し声が聞こえてくる。
なんか、先輩んちに迎えに行くか。とか、家知らねーよ。じゃあ、どうすんだよ。リエーフ、なんとかしろ。えー、俺無理!
とかなんとか、本当は大体聞こえてたんだけど。
「もしもーし!分かったよ!
今から行くから、基礎練とアップしっかりやっといて!」
あ、ありがとうございます!なんて後輩の声に、嬉しくもため息をついてしまった。
お人好しめ。と誰かさんには言われるかもしれないけど、なんか放っておけないんだもん、仕方がない。
立ち上がったばかりのSP4を切ると、自室にそのままにしてあったリュックにジャージとシューズをつめ、なるべく急いで家を出た。