さらばGW

「っつーことで、俺らが遠征中は、こいつがレシーブ教えっから。」


猫又先生への挨拶もほどほどにして、黒尾に連れてこられたのは、バレー部がいつも練習している体育館。
練習終了後に、黒尾に引き止められた彼は、タオルで汗を拭きながら、走ってやってきた。


そして、目の前で止まった、灰色の髪をした翠の瞳の男子生徒ほ黒尾の話も聞かずに、さっきからじっと私を見下ろしている。


「初めまして、椎名です。」
「え?この人がバレーできるんすか?」
「……」


こいつ。


ぶっと隣で吹き出し肩をふるふると震わせて笑う黒尾も腹立つが、明らかに私をなめてかかっているこいつは、もっと腹立つ。


「黒尾、この子なかなかいい根性してるね。」
「だろ?」


私のゴールデンウィークを使ってやるんだ、カタチにはしてやんないと黒尾に、アイスおごらせられないな。
終わった暁には、バーゲンダッツ奢らせよう。


「リエーフ、あんまこいつ怒らせんなよ」

そう言ってニヤリと笑った黒尾に、リエーフくんは不思議そうに首をかしげた。


覚悟しろ下手くそ。

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