少年Tの優越
「あ、おかえりツッキー」
「うん」
「さっきツッキーに渡して欲しいって女の子来てたよ」
ニヤリと笑う俺を見て、不思議そうにしたツッキーに、尽かさず紙袋を差し出す。
差し出された紙袋を見た瞬間、隠すことのない面倒くさそうな顔を浮かべ受たツッキーは、しぶしぶといったように紙袋を受け取った。
そして中身を確認すると、少し驚いた表情を浮かべ、再び顔を上げた。
「あ、そう言えば、昨日はありがとうございました、だって。」
そう告げると、言葉に心当たりがあるのか、少し驚いた表情を浮かべたツッキーは、袋の中身を見つめている。
「昨日何かあったの?」
「…別に」
「そっか!」
いらないっていうのかと思った。ツッキーにプレゼントを渡してきた女の子は今までも何人かいた。
だけど、その度に嫌そうな顔をして突き返していたし、人伝いに来たものもそれはそれは迷惑そうに、受け取っていたから、今回もきっとそうだ思っていた。
だけど今回突きかえすでもなく、珍しくすんなり紙袋を受けったツッキーに、俺は驚きを隠せなかった。
しかもどこと無く嬉しそうに見えるのだから、俺の目はどうかしてしまったのだろうか…。
中身はなんだろう、なんて考えていたふわふわとした思考は吹っ飛び、先ほどの女の子のことを思い出した。
髪は黒だった。目は切れ長の二重で、身長は他の女子よりも少し高かった気がする、目線が近かったから。声は中性的でまっすぐ目を見て話す子だった。
それに戻っていった方向は5組だったことも確認済みだ。
大切そうにバッグにしまわれたプレゼントの行方を見送り、ツッキーに気づかれないようにそっと顔を除けば、無表情ながらも、やっぱりどこか嬉しそうだった。
その時が、彼女と幼馴染の不器用なこの男の、行く末がうまくいけばいいなぁと思うきっかけだった。