心の底から

「谷地さん、町田さんてバレー部だったの?」

驚くのも無理はない。
驚きの眼差しを向ける山口くんの視線の先に映るのは、周りよりいくばかりか高い身長から繰り出されるスパイクがスパン!と相手コートに沈んだ光景だ。

「ううん、特定の部活はやってなかったけど、いろんな部に助っ人に呼ばれてたよ。」
「え!そうなの?」

町田さんて運動神経いいんだなぁ。
躍動するバレーの試合を見つめながら呟く山口くんに頷く。

衣織は昔から、勉強もスポーツもなんでもできる子共だった。
持ち前の運動神経で、一度やったらすぐコツを掴んでみるみるうちに上手くなっていった。小さい頃はそれがひどく羨ましくて、できない自分に落ち込んだりもした。

でも、小学校時代ビクビクしてなかなかクラスに馴染めなかった私を輪に引っ張り入れたのも、いじめっ子や通学路の怖い犬、いろんなものから守ってくれたのも全部衣織だった。
バレー部に入ると決めた後、お母さんになかなか話せなかった時も、背中を押してくれたのは衣織だった。

「衣織は、今までずーっと私を守ってくれて、悩んだ時は背中を押してくれたんだ。」
「うん」
「だから今度は、私が衣織の背中を押せたらいいなって」

なんでもできてしまう彼女に、はたしてそんな時がやってくるか、分からないけどもしその時には、今度は私が。

「そっか、谷地さんならきっとできるよ」
山口くんの力強い言葉に、彼を見上げてにこりと笑った。

本当にできるといいな。