懐生との話



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棚に並べられた壜ソーダ。
ベリー、シトラス、キウイ、ネクタリン、林檎。星の欠片を閉じ込めて3年寝かせたラムネもある。
その隣に並んでいるのは果実酒だ。マルメロ、パイン、レモン、葡萄。冬がきて凍ってしまう前に汲んできた炭酸の鉱水で割って飲む。
ココア、粉ミルク、気に入りのコーヒー。紅茶はセイロン、アールグレイ、アッサム、プリンスオブウェールズ、ルイボスティーもある。ジャムを浮かべてもきっと美味しい。秋の果物を透明なゼリーにしていくつも保存してある。
干した無花果、ブルーベリー、クランベリーの隣にはナッツの小瓶。ローストして飴と絡めるのはきっと懐生のほうが上手い。
飴色の蜂蜜の瓶は左から色が淡くなっていく。栗、クローバー、蜜柑の木。黒糖を煮詰めて作った黒蜜もある。これらをふんだんに使って焼いたケーキと一緒に濃い紅茶を飲むのがこの冬ごもりの楽しみのひとつでもあった。
貯蔵庫にはかぼちゃの他に、玉ねぎ、にんにく、馬鈴薯がたっぷりある。雪の下の土には、大根や人参、蕪が埋めてある。
夏の間に作っておいた干し野菜…とりわけ楽しみなのは、ドライトマトを使ったスパゲティだ。缶詰のサーディンやオイル漬けの海老や牡蠣と混ぜても美味しいのだから。
新鮮な卵やミルク、肉や魚は毎日売り子がやってくるから心配はいらない。砂糖や塩、調味料も問題ない。
「壮観だね」
懐生は


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