Don't.



つらいことがあったら、いつだってそばにいて話を聞く。
親身な態度で相談に乗ってアドバイスをして、時には気分転換を口実にドライブへ連れ出しもする。
彼女は言った。
「ロディってなんだかお兄ちゃんみたいね」と。

***

「私は、」
全然そんなつもりじゃなかった!とアフロディーテは拳を叩きつけた。
「ひゃーひゃっひゃっひゃ!」
「ふっ、くくく・・・!とんだ空回りだな」
遠慮のない笑い声を立てる悪友たちを彼は睨みつける。
実際その通りなのだから仕方がない。
よかれと思ってしていた行動がどれも功を奏さないばかりか、お兄ちゃん扱いされてしまうとは。
「じゃあどうすれば良かったんだ」
ぶすりと尋ねる。
「んなもん簡単だろうが。オメエは考えすぎなんだよ」
「本命じゃない時とは雲泥の差だな」
「当たり前だろう。他の女たちとは違って彼女のことは遊びにする気は毛頭ない」
「お前、澄んだ目をして言っていることなかなかクズだぞ」
「つーか他の女たちにはグイグイいくくせして、なんでアイツにはだめなんだよ?」
「奥ゆかしい文化で育ったなまえに引かれるかもしれないからな。慎重にもなる」
「だがそれで兄貴止まりでは元も子もないな」
「まあそうだ・・・それに、もっと最悪なことがあった」
なんだ、とふたりは口を閉ざす。
「・・・恋愛相談をされた」
沈黙。
「ぎゃーはっはっ!」
「ひっ、ひどい話だな・・・!」
「ああそうだな。しかもその相手がシュラ、貴様とくるのだから殺意が湧く」
は、と彼は身を固くする。
「おっ、俺か・・・!?」
「そうだ。貴様いつの間にあの子をたぶらかした」
いやいやいやいや、とシュラは首を激しく振る。
「本当に何もしていないぞ俺は!」
「へー、とんだ三角関係だな」
すでに興味なさそうなデスマスクは手の中で煙草を弄んでいる。
「なんとかしろ、デスマスク!」
「俺がー?オメエが死んでアフロディーテが傷心につけこめばいいんじゃないの」
「そんな投げやりなアドバイスがあるか。いいんだ、もういい」
「な、なにがもういいんだ・・・」
おそるおそる尋ねるシュラに一瞥をくれ、アフロディーテは宣言した。
「私はお兄ちゃんを卒業する!」


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