番外1-2
「ねえ、沖田くん」
「…ん。」
お風呂から出たら沖田くんがソファーで寝落ちしてた。
ごんなとこで薄着で寝てたら風邪引いちゃうから、申し訳ないけど身体をゆすって起こせば沖田くんは薄ら目を開けてとろんとした目つきのまま腰に抱きついてきた。
「ど、どうしたの?」
怖い夢みた…なんてことは沖田くんに限ってはなさそうだけど。
「……懐かしい夢みやした、昔の」
「昔?」
「俺がなまえ先輩に、ハートを奪われちまった日のことでィ」
よくもまあそんなことを恥ずかし気もなく。
沖田くんと付き合い始めてから結構経ってだいぶ慣れてはきたけど。相変わらず沖田くんには心乱されることが多い。若さゆえなのか眩しいくらいまっすぐなとこあるし。
「そーいえば沖田くん、明後日の飲み会いく?坂田さんから誘われたんだけど」
「なんでアイツ、隣の課なのになまえ先輩にも声かけてるんでィ。俺ァ誘われてやせん」
「わりと長い付き合いだからじゃない?ほとんど同期みたいなもんだし」
腰にひっついたままの沖田くんの頭をなんか可愛いかったので撫でながらそう言えば、機嫌を損ねたのか腰に回っていた腕にそのまま抱き寄せられ視界が反転。気づいたらソファーに押し倒されていた。
「え、な…なんで?」
「心配なんで俺もついてきまさァその飲み会。なまえ先輩酒癖悪いし」
「わかった、それは伝えておくね」
それよりも。なんで押し倒されたんだろう。
戸惑う私を他所に、さも当然のごとく突然首元に顔を埋めた沖田くんに身体が跳ねた。
首筋に舌を伝わせて、Tシャツの襟を少し下に引っ張り胸元にちくりと痛みが走る。
「ちょっと、!なに跡つけてんのっ」
「ワイシャツ着ちまえば見えねーだろィ」
「そーいう問題じゃなくて…!」
「なまえ先輩、無自覚に虫寄せ付ける時あるから念の為」
虫…。思わずTシャツの匂いを嗅いだら沖田くんの呆れた眼差しが刺さった。
「そーいうボケいりやせん」
「だって虫っていうから…?」
「虫除けは俺がちゃんとしてるから、大丈夫でさァ」
でもって一生離すつもりないから、そこんとこよろしく頼みまさァ。
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露草