番外3-1
春先はなまえ先輩が新人の教育したりやなんなりで忙しかったのでなかなか一緒にいる時間がなかったが季節は夏になり、盆休みに入った。
なまえ先輩は実家が近いらしくちょこちょこ連絡もとってるから今回は帰省しないでいーやと言って俺も1日姉上に会いに行く以外に特に予定はない。
「たくさん二人でぐうたらできるね」と言うなまえ先輩の言葉に甘えてほぼ先輩のうちに入り浸る予定。人生最高の夏休みだ。
連休初日、カーテンの隙間から煌々と照りつける太陽を横目にエアコンの効いた部屋でなまえ先輩と並んでガリガリくんを食う。テレビをつけたら休日らしく旅ぶら番組がやっていて、ぼーっと眺めてる俺とは対照的に先輩がテレビに映る海鮮丼に食い入るような視線を送ってることに気がついた。
「先輩、そのままじゃアイス垂れちまいやすぜ」
「え、あっほんとだ」
溶けかけアイスが床に落ちる前に慌てて下の方から器用に舌で舐めとった先輩に思わずごくりと喉がなる。
エロいな。と言葉にすらしなかったもも初日の昼間から盛ってたら先輩の体力がもたねーだろうから夜まで我慢するとして。
「なまえ先輩は連休中、どっか行きたいとことかはねーんですかィ?」
「どしたの急に」
人混みは嫌いだし俺ァずっと家でくっついててもいいが先輩があまりにも海鮮丼を観てたから、出かけてなんかうまいモン食いに行くのもアリかなって。
少し考えた素振りをした後、アイスの棒を近くのゴミ箱に投げて先輩は言った。
「行きたい気持ちもあるけど人混みがなあ。沖田くんはないの?」
「俺ァ先輩とならどこでも」
「っわ、私も。でも…家の方が気兼ねなくくっつけるよね」
気恥ずかしそうに肩に擦り寄ってきたなまえ先輩に口に加えてたアイスの棒が思わず床に落ちた。
不意をつくたァ無自覚だったらタチがわりィな。
一度は抑えかけた欲が今度は身体の芯から湧き上がってきて、先輩の顔を覗き込むようにして唇を奪う。
角度を変えて何度も攻め続けたら俺のTシャツを握っていた先輩の手がどんどん弱々しくなっていって薄目を開けると潤んだ瞳と目が合い夜まで我慢なんて気持ちは遥か遠くに消え去った。
そのままなまえ先輩をソファに押し倒したときふと思う。
「今日は抵抗しないんですねィ」
いつもなら何かにつけて襲いかかる俺に先輩は待てをかけるけど珍しく大人なしい。待てをかけても止まった試しがないからなのか?てっきり「まだ昼間だよ!」って押し返されると思ってた。まあ俺的には今更やめるつもりはないから全然いーけど、少し気になって聞いてみたら
「私も。……その、シたかったから」
顔を背けながら放たれた一言に、この年にして初めての衝撃を受けた。いつのまにンな誘い文句覚えたんだとか思う事はあるけれど。
中学生男子のような性欲を剥き出しにして、とりあえず夜まで一歩もベッドから出さねえことを胸に誓い先輩のシャツに手をかけた瞬間、机に置いてあった先輩のスマホがけたたましい音で鳴り響いた。
「ご、ごめんね…!」
「………………出ていーですぜ」
ほんとは叩き割りたいくらいだけど。余裕ねえと思われたくないからふつーに見栄張った。
俺の下から机の上のスマホに手を伸ばす先輩。案の定届かなくて、仕方なくギリギリの理性で変わりに手渡せば知らない名前がスマホの画面に映ってた。
「忘れてた!」と小さく声をあげ応答ボタンを押した先輩は俺の下から抜け出してタメ口で誰かと話し始めた。
仕事の連絡じゃねーなら出させるんじゃなかった。と電話口から微かに聞こえた男の声に唇を尖らせる。
「明後日だっけ?すっかり返事するの忘れちゃってた、ごめん。参加するって伝えておいて」
明後日は確か俺が姉上の家に行く日だ。なまえ先輩もどっか行くのか。つーかそいつは誰だ。
独占欲が強いとはなまえ先輩に言ってはあるものの、毎回バカみてえに子供じみた姿を好きな女に晒したくはない。ただせさえ俺のが3つ下で立場だって後輩なのに。
いつも俺のペースに飲まれるって先輩はたまに言うけどどちらかと言うとなまえ先輩に余裕奪われて掻き乱されてんのはこっちだっての。
じゃあまた、となまえ先輩がスマホを耳から離してすぐ。すかさず先輩の手からスマホをひょいっととりあげて今度はソファの角に追いやった。
「ごめんね。その…いいとこだったのに。電話、とらせてくれてありがとう」
「構いやせんぜ。その分たっぷり礼してもらうんで」
いいとこ、と自分で言って少し顔を赤くしたなまえ先輩を問答無用で再びソファに押し倒す。
とりあえず明後日どこへ行くかはあとで聞いてみるとして。今は服の下にたくさんマーキングをしておくことにする。
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露草