B-2

どうしよう、わからなくなってしまった。
自分の沖田くんへのこの気持ちに気づいてしまった今、私は沖田くんとどう接したらいいのやら。
ついでにいえば今までどう接してたのかもわからなくなった。
沖田くんを見ると馬鹿みたい緊張して何も言葉が出てこなくなってしまう。
なんだか中二男子みたいなこと言ってる自分に自分でも引きつつあるが、これが恋愛ブランクの代償か。
そーなると必然的に私のとる行動は一つで、自然と沖田くんを避けるようになってしまった。
困った時は逃げようという恋愛においては短所でしかない私の一面。
というか意識して避けるというより沖田くんを見ると身体が勝手に逃げてる、どうやら私は考えるより先に身体が動くらしい。

お昼、「一緒に昼飯を食おう」と言ってくれた沖田くんの誘いを先約があるからと断って逃げた。
休憩中は沖田くんどころか周りの人を寄せ付けないくらい私は先輩にべったりくっついて一方的に話かけ続けた、先輩はかなり迷惑そうだったがその間沖田くんどころか誰も声をかけてはこなかったのでなんとか事な気を得た。

こんな馬鹿みたいな事をいつまで続ける気だろうと自分でも思うがとりあえず気持ちが落ち着くまでは仕方ないんだと何度も自分に言い聞かせて。
そしてそんな事をしているうちにいつの間にか夜になり、退社時間になっていた。

長い一日がなんとか終わりほっとしながら会社を出ると外は雪が降っていて、しかも辺りは一面雪景色になっていた。

「(そういえば…)」

今日は午前中頃から降って積もるって結野アナ言ってたなあ。
天気予報を聞いてたくせに私傘忘れちゃったけど。
というかこの雪でも電車って動いてんのか?っと疑問に思いスマホで確認したら案の定止まってた。
それなら今日は近くのホテルにでも泊まって…っと財布の残高を確認したら三千円しか入ってなくて。しかも今日に限ってカードとか全部家に置いてきちゃってて、これってもしかしなくても会社に泊まるフラグですか…。

「給料前じゃなければなー…」

「金欠ですかィ?なまえ先輩」

雪景色をみながらがっくりと項垂れてたら声がして、私はびくりと肩を揺らした。
それと同時にどくどくと胸が一気に高鳴って、私は息を飲む。

「お、おおおきた…くん」

「毎回ンなオーバーにリアクションしねぇでくだせェ。傘、忘れたんですかィ?」

「えっと…うん、それは…そうなんだけど」

やばい、目、全然合わせられない。

「じゃあ俺の貸しまさァ。買う金もないんだろィ?」

「それくらいはあるわ!…大丈夫。傘あっても帰れないの。…電車、止まっちゃってるみたいで」

だから気にしないで!それだけ言って私は今朝同様逃げる様にその場を後にようしようとしたんだけど、「待ってくだせェ」っという言葉と同時に腕を掴まれた。

「だったら家に泊りなせェ」

「…えっ」

今…なんと?

「俺ん家、電車乗らなくてもなんとか歩いて帰れる距離だから。だから泊まっていきなせェ」

暫く固まった後、やっとその言葉の意味を理解した私は一瞬にして顔が茹で蛸状態になった。

「いや、いいよ…!そこまでしてもらうの悪いし」

なによりもまだ心の準備が色々できてないよ!

「困った時はお互い様でさァ。それに、」

なまえ先輩なら俺は大歓迎ですぜィ?
にっこり笑いながらそう言った沖田くんに私は完全にノックアウトされた。


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露草