目が覚めて、目の前に裏道さんの顔があってびっくりした。
そういえば昨日、泊まったんだっけ。
床に脱いだままになってる服を見て、今更気恥ずかしくなって頭から毛布を被る。
裏道さんは私に腕枕をしたまますやすや横で寝息を立てていて、目を閉じると長いまつ毛が涙袋に影を作って、綺麗な顔立ちなあ…って。
間近で食い入るよに見つめていた。ら、突然目が開いた。
「!!おはよう、ございます…」
「…おはよ。なんかすごい視線、感じたんだけど」
「き、気のせいですよ…」
「…見てただろ、顔」
「…っ、」
バレてる。
少し距離を取ろうと身を引いたら、裏道さんの手がすかさず後頭部に回ってそのまま押し当てられた唇。
付き合ってから初めて知ったこと、裏道さんはとても支配的なキスをする。
束縛はしないけど、独占欲はかなり…強い。
熱い胸板を無駄だとわかってても押し返そうとしたら手に力がこもって、逃がさないと言わんばかりに下唇を噛まれた。
「裏道さっ、スト…ストップ!」
「なんで。…やなの?」
「いやとかじゃくて…!これ以上したら、明日仕事行けないですっ私」
昨晩だって、確かに穴埋めするって言い出したのは私だけど、寝たのほんとに朝方になったし。
鍛えてるといえど体力底なしすぎる、裏道さん。
「なら、今度の三連休もまた泊まりきて」
「え、いいんですか?」
「最初からなまえと過ごす以外に予定、考えてないし」
三連休なんて滅多にないのに、当たり前な顔してそう言ってくれるとこ。
どんどん裏道さんにハマってしまう。
「次はどんな誘いがあっても絶対断ってきますねっ」
「…ん。どっか出かけたい場所あったら連れてくから、それも考えといて」
「はい!」
なーんて裏道さんと、裏道さん家でそんな会話をしてから数日後。
それだけをモチベーションに最近は仕事を頑張ったのに、
「慰安旅行のお知らせ…」
掲示板に張り出されたばかりであろう紙切れを見て固まっていると撮影を終えてスタジオから出てきた面々もみな、そこで足を止める。
慰安旅行のお知らせ、日程は裏道さんと過ごす予定だった今度の三連休。
「マジかよ、今年決まるの急じゃね!?俺予定あったのになあ〜」
「兎原さんデートですか?」
「いや、パチンコだけど…池照くんは?」
「小百合さんのことは姉さんが見ててくれるので大丈夫です」
「あ、そう…」
「いつもこの時期なんだから三連休ある時点でだいたい察しがつくだろ」
ぐさりと熊谷くんの言葉が胸に刺さる。横を見たら同じように掲示板を見たまま微動だにしない裏道さんがいて言葉が出なかった。
「どしたんスか〜裏道さん!もしかして何か予定あ」
「いや、何も?ねえよ予定なんて。」
「顔こわッ。そ、そんな大事な予定…あったんスか?」
兎原くんの問いかけを無視して裏道さんの光のない瞳がこちらに向き、思わず肩が跳ねた。
「流石に慰安旅行は…行くしかないですよね。いつもながら休むと欠勤扱いになりますし」
「なまえさんは何か予定あったんですか?彼氏とデートとか」
「え、なまえちゃん彼氏いたの!?初知りなんだけど!いつから…!?」
熊谷くんの問いかけに何故か反応した詩乃さんに肩を揺さぶられ最早収集がつかなくなってきた。
なんとなく熊谷くんには裏道さんと私が付き合ってるの、バレてる気もするが、
とりあえず今は何事もなく慰安旅行が終わることを祈る。
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露草