※この話は煉獄杏寿郎登場しません。
「あのぅ…」
丁度夕飯時、●が台所へ顔を出した。
「あら、どうしたの●さん。火傷はどう?丁度部屋に食事を運ぼうとしてたところよ」
「大丈夫です、あの……聞きたい事があって…こ、ここい恋仲の人とはあの…具体的に何をするんでしょうか…?」
夕飯時の台所は家の者ほとんどがそこに集結する。●の突然の問いにみんなが手を止め、「こいつ今日はどうしたんだ」という目で一斉に●を見る。
分かってる、何をするか分かってるけど!初めての事だし、間違ってたら恥ずかしいから….確認するだけ!
「やだわぁ、●さんもいつの間にかお年頃なのねぇ。そういう事ならお婆様にお聞きなさいな」
「●、こちらへおいで」
奥の部屋からお婆様が手招きする。
●はお婆様の部屋に通され、すべての襖を閉めるよう指示された。言われた通りにし、お婆様の対面に正座した。
「さて…●には恋仲の者がおったかね?」
「えぇと……それは置いといて、義務的な事を知りたいと言いますか…」
「カカカ!買われたんじゃな」
「か、買われたっ…?」
「色街同様、風呂屋や宿屋でも女子が買える時代じゃ。藤の花の家紋の家は鬼狩り様の宿屋……、買われる事も多少は容赦せにゃならん」
「え、えぇ……じゃあみんな?私以外の人も買われてるの?」
「●、我一族は鬼狩り様に救われた。鬼狩り様あっての今日じゃ。鬼狩り様が望むなら一夜の夢と思って受け入れておあげなされ…」
「……………」
ああ、そうか……。
煉獄様にとって私は数人のうちの1人に過ぎないのか。そりゃそうだよね…。
閉じ込めて、隠してたのは…こんな思いをしたく無かったからなのに…。
「えっ?」
閉じ込めて…?
考え込む●を他所に、お婆様は続ける。
「まず湯を浴びて、身を清めてから寝着一枚で部屋を訪れ」
「ちょっと、待って!お婆様!そんな事出来ない!」
寝着一枚で煉獄様の部屋へなど!
●の顔が真っ赤に染まる。
「その後は、殿方にお任せすれば良いじゃろ。カカカ」
「………………!!」
耳まで真っ赤になった●は勢いよく襖を開けて婆様の部屋を飛び出した。
『カカカ』じゃないよ、お婆様!
私は一応あなた様のひ孫なのにっ!嫁入り前のひ孫なのにっ!心配じゃないの!?
寝着て部屋を……で、出来ないっ!できないよっ!
煉獄様が帰ってくる前に旅に出よう!
そうしよう!!
***
2021.10.31編集……
うーんまたいじるかも…
にぎやか。