目の前のこの少年は、一体何者なの?






小五郎おじ様の沖野ヨーコ案(?)によって警察の方々が動いていく。名探偵ってすごいな…さすが。
なんて思っていると、腕時計を見ながらキョロキョロしている少年―――コナンくんだ。
どうしたんだろう?と思っていると、蘭ちゃんがコナンくんに声をかけた。

「何してんのコナンくん?」
「方角を調べてんだよ!」
「方角?」
「まず時計の短針を太陽の方角に向けるんだよ。日本は北半球だから、その短針と文字盤の12との中間にある方角がちょうど真南になるってわけさ。」
「へぇ…」
「そんなことよく知ってるね、コナンくん。」

普通の子は知らないであろうことを普通に言ってのけるこの少年は一体。大人でもなかなか知らないだろう。私がコナンくんに話しかけるとコナンくんは少し焦ったように目を泳がせた。

「も、もちろん新一兄ちゃんに聞いたことを試してみただけだけどね…」
「新一…?」
「あぁ、私の幼馴染みで工藤新一っていう…高校生探偵やってる奴なんだけど、コナンくんは新一にすごく懐いてるみたいでよく真似したりするのよ。」
「く、工藤新一…!?」
「名前ちゃん、新一のこと知ってるの?」
「え、えぇ…知ってると言えば知ってるわね…」
「え、マジ?そうなの?なんでなんで?」
「なんでって…園子と同じ感じというかなんというか…」
「私と?」

工藤新一…彼も園子と同様、幼い頃にパーティーで出会った人物。
最も、母親が彼の母親である女優の藤峰有希子のデザイナーをしていたこともあり、親同士仲がいい。なので彼とは何度も会っていたので、彼も園子同様、幼馴染みと言えるだろう。最近はめっきり会わなくなってしまったが。親が両方共海外にいるのだし、早々会うことはないと言ってしまえばそうなるけれど。

「あ、そっか、藤峰有希子のデザイナーしてたんだっけ?おば様。」
「そうそう。だから昔から面識はあって…にしても最近全く会わないけど、彼元気なの?」
「それが、最近滅多に姿見せなくて…」
「え?そうなの?」
「うん…事件がなんとかーって言って、家にもあんまり帰ってないみたいだし…たまに電話してくるくらいで。」
「そうなんだ…忙しいのね、工藤くん。」
「ていうか、私と工藤くん知ってて今まで蘭に会ったことないのも不思議な話よね〜。」
「…そういえばそうね。」

もちろん、話はたくさん聞いて知っていたのだけれど。こうして会うのは本当に初めてだ。

「ねぇ、もう帰ろーよー。こんなとこいてもつまんないよー。」
「え?」
「じゃあボク、先に帰るから…」

そう言って走り去るコナンくん。不思議な雰囲気の子だけど、つまんないと言って帰ってしまうところはやっぱり子供なのかしら。

「変ねー…いつもはあの子現場にいたがるのに…」
「そうなの?」
「うん。きっと、泥棒には興味ないのよ。」
「それより蘭、名前、せっかくだしお茶していかない?」
「いいわね!」
「そうね、せっかくだし。」
「よし!そうと決まったら女子会よー!」

ノリノリな園子の提案に、近くのオススメのカフェとやらに連れて行かれた私と蘭ちゃん。
女子が集まるとやっぱり始まる恋話に花を咲かせ、たくさん笑ってたくさん話して、家路についた。


工藤新一、か。
久しぶりに聞いた幼馴染みの名前に、思いを馳せる。
あ、そういえば。今日出会ったコナンくん。
どこかで見たことあると思ったが、今になって気づいた。
工藤くん…彼に似ている。私が出会った頃の、幼かった彼に。

似ていると言えば、快斗くんも工藤くんと似ている。それは初めて快斗くんを見た時に思ったことでもあるが。
顔のそっくりな者同士。探偵と怪盗だなんて、えらく正反対なものになっているんだな、と少し苦笑した。

キッド―――結局、あの予告状の意味はなんだったんだろう。やっぱり私には、意味を解読出来るほどの頭の良さは持ち合わせてはいない。
でも、やっぱり会いたいと思ってしまう。あの、白を纏った彼に。
本人にはいつも会っているのに、本当におかしな話だけれど。
この前だって―――


「この前…」


この前の快斗くんとのデートが頭を過ぎる。
楽しかったあの時間を。
そういえば、彼はあの時…


「…杯戸シティホテル…!」


当たっているかはわからない。でも、そんな予感がした。
間に合うだろうか。もう夜も更けている。

私は慌てて仕度をして家を後にした。






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