「ブン太は…


私の婚約者候補です。


そして、ここにいる氷帝メンバーも。」






運命を君と。
17.Candidate fiance








「なんじゃ候補って。」

「正式な婚約者じゃない。
あくまで婚約者の候補ってわけ。」

「そんなの聞いたことないっすよ!!」

「当たり前だろぃ。
んなもん決めんのは、名前の家くらいだ。
しかも、こんな大人数を候補に決めるなんてな。」

「すみません…。」





名前の婚約者候補―――





最初の婚約者はブン太だった。

それは、名前の母親が決めたこと。


ブン太は昔から名前が好きだった。

そのことを知っていた名前の母親が、勝手に決めたのだった。



だが、

名前は色んな男に好意を持たれることを知り、名前の母親の気まぐれで、婚約者候補を決めることになったのだ。






「つまり…ブン太が第一の婚約者候補。
そしてここにいる氷帝のレギュラーも、名前の母親に選ばれた候補者だと言うことか?」

「そういうこと。」

「そういえば名前の両親は、テニス界で有名な方だと聞いたが。」

「あーそれは、お父さんがプロテニス協会の幹部で、お母さんが元女子プロってだけで…」

「「「だけじゃねぇだろ。」」」



「そんな名前の両親に候補に選ばれる…
なんか色々ありそうやの。」

「色々っていうか…ただ単純に、テニス上手くてイケメンだったらいいらしいよ。」

「「「いい加減だな、おい。」」」





そう―――婚約者候補に選ばれる基準。


それは、テニスが強くて、イケメンであること。


最も重要なのは、名前に好意を持っているかどうかだが、名前本人はそのことに気が付いていない。





「昨日の話のアレってのが、その婚約者候補のことなら、たくさん候補者がおるんじゃろ?」

「…まぁな。転校先でどんどん増えたらしい。」

「ハッ!
さっきから大人しく聞いてたがな、そんなこと俺様はどうだっていいんだよ。」


しばらく黙っていた氷帝陣の中から、跡部が口を開いた。


「例え丸井が第一だろうが、どんなに候補者がいようがな、そんなこと、俺様には一切関係ねぇんだよ。
名前は俺様の女だ。


「違いますけど。」

「フッ 照れんなよ。」

「景吾、精神科行ったら?」




「あ、ひとつ気になってたんすけどいいっすか?」


跡部と名前のくだらない言い合いの中、今度は赤也が口を開いた。


「なんだよ赤也。」

「なんで名前先輩は、丸井先輩や跡部さん達だけをまともに名前で呼ぶんすか?」

「ぉ、赤也えぇ質問なり。
まぁだいたい予想はつくがの。」


仁王は先程まで跡部と言い争っていた名前の肩を掴み、仁王の方へ向かせた。


「婚約者候補の奴らだけやないんか?
下の名前で呼んどるのは。
だから俺の名前も呼ばないんやなか?」

「…よくわかったね。」

「当然なり。呼べって言ってもいつまでも呼ばれないんじゃな。
逆に無理矢理言わせたくなるぜよ。」

「無理矢理ってあんた…」


仁王の妖しい笑顔に、名前はなんとも言えない表情をした。

とても危険な気がする、と。


「まぁ仁王君はさておき、何故なんですか?」


「ぉ、いたのか柳生。
全く気付なかかったぜよ。」

「仁王君、私は最初からいましたが。」



先程まで一言も喋っていなかった柳生に、仁王は冷たく言い放った。
可哀相な比呂士。



さっきまで眠そうに話を聞いていたジローが口を開いた。


「あのねー、名前ちゃんは、最初は絶対名前で呼ばない癖があるんだCー。」

「ぇ、なんでっすか?」



「………さぁ?」

「「「お前のことだろ。」」」



自分のことに全く無関心といった感じの名前に皆は呆れている。

ブン太や氷帝メンバーを除いて、だが。
完全に慣れているようだ。


「いつからかこうなったんだよ。
そんで、それがあまりにも酷い呼び方するから、せめて仲良くなったり、婚約者候補になった相手にはちゃんと名前で呼ぶように決めたんだよ。」

「誰が?」

「「苗字家に俺(ブン太)を含めた家族会議で。」」











恐るべし苗字家。





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