「…でもお前さん、幸村のことは普通に呼んどったやろ。」
「……ぇ?」
「そうだな。精市に会った時、名前は"幸村君"と呼んでいた。」
確かに名前は、立海メンバーを酷い名前で呼んでいたにもかかわらず、幸村に対しては普通に呼んでいた。
ここにいる氷帝メンバーでさえ、名前を普通に呼ばれるまで少し時間がかかった。
これはとても珍しいことだ。
「だ…だって…
なんか怖かったんだもん」
「「「………………あぁ。」」」
………皆納得しちゃったよ。
運命を君と。
18.A Storm Goes Away
「…と、今のですっかり忘れるとこだったぜ。
おい、真田。」
「む…?なんだ、跡部。」
「監督から預かって来たものがある。」
跡部が指を鳴らすと、先ほどまでほとんど存在がなかった樺地が、少し大きめの封筒を持って、「…ウス」と現れた。
「これは…?」
「氷帝が企画した合同合宿についてのものだ。
全国に向けて、何校かを集めて行おうと考えている。
ま、詳しい内容はその中の書類に書いてあるが…当然参加するだろ?アーン?」
「…そうだな。前向きに検討しよう。」
「フッ…頼むぜ。」
跡部は名前の方を見ると、口許を上げて笑った。
名前が少し顔を歪めたのは言うまでもない。
「………何よ景吾。気持ち悪い。」
「あーん?」
「…どーもすみませんでしたー。」
なんなんだこの俺様。絶対なんか企んでる。
とは思ったものの、何も言えない名前。
「フッ照れてんじゃねーよ。
今日もちゃんと、電話してやるから、拗ねんなよ?」
「しなくていいでーす。」
皆、"今日も"という言葉がすごく気になったが、その中でも"電話"という言葉にも反応しているのが一人…
「ちょぉ…名前ちゃん…?」
「何よ忍足、気色悪い。」
「なんか酷ない!!?」
しょうがない。
だって忍足だもん。
「俺はこないに、名前のこと想っとるのに…
着拒やなんて…!!」
「だって…
しつこいしキショいし忍足だし。」
「んなアホなー!」
哀れ忍足。
何か理由があってではなく、忍足だからという理由で着拒されるなんて…
皆から哀れみの眼差しで見られている。
「………………………樺地。」
「…ウス」
呟かれた跡部の言葉に、樺地は忍足のもとに近付く。
そしてボソッと何かを呟き、
忍足を持ち上げた。
跡部…
忍足が哀れで見ていられなかったのか。
他の氷帝メンバーも悲しそうな顔をしている。
樺地もなんだか悲しそうだ。
「………迷惑かけたな、真田。
こいつは連れて帰るぜ。」
「あ…あぁ。」
真田のいつもの仏頂面が、マヌケな感じになっている。
「…名前ちゃーん。」
先程まで少し眠そうだったジローが、口を開いた。
「んー?どしたのジロー。」
「またしばらく会えないの…さびCー…」
「ジロー…!!」
「くそくそジロー!!
お前だけじゃなくて、俺だって淋しいんだからな…!!」
「がっくん…!!」
なんて可愛いんだこの天使達は…!!
あまりの可愛さに名前はジローと岳人と熱いハグをした
が、
ブン太と跡部によって引きはがされた。
保護者は大変なんです。
「…帰るぞ、お前ら。
……じゃーな、名前。」
「元気でな、名前。」
「またなー!!」
「また今度お会いしましょう、名前先輩。」
「…失礼します。」
「名前ちゃんまたねー!!!」
「…ウス…。」
「バイバーイ。」
「名前ーーー―――……」
遠ざかっていく何かの雄叫びが聞こえたが、
皆気付かないふりをした。
こうして、嵐のような氷帝メンバーは去っていったのだった。
めでたしめでたし。
「「「なんだったんだあいつら。」」」
それは不明です。
next.
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