これから一週間の合宿とやらで
ものすごくでかい合宿所に来た。
集合まで少し時間があったから
日陰でゆっくりしてたら、
どうやら寝てしまったようで。
近くで変な声が聞こえた気がして、目が覚めた。
時間が経っていたことに気付いて慌てて起き上がると、
目の前には挙動不審な女がいた。
「あんた…誰?」
運命を君と。
29.Memories of old times
荷物を置きに各部屋に行ったあと、
名前はブン太の目を盗んで抜け出していた。
「皆に会えるのは嬉しいけど、揃うとめんど……いやいや、とにかく!
私はとんずらするとしますよ!
く…っ、ごめんよ、私のかわいこちゃん達!!
ってどわあああああああ」
名前がかわいい子達との別れを惜しみ、
天に向かって両手をあげていると、
目の端に人影がうつり、変な叫び声をあげて、近くの柱の影に隠れた。
「び、びっくりした…知らない人かぁ……ん?」
名前はその、木に寄りかかって眠っているであろう少年をまじまじと見つめ、近づいた。
「か…かわいい…
じゃなくて!!
どっかで見たような…」
無意識のうちに顔を近づけていく名前。
その瞬間、
少年がいきなり飛び起きた。
「ひぃぃぃぃいいいいいいっ」
「……あんた、誰?」
驚きのあまり、変なポーズで固まる名前。
その名前を不審そうに見つめる少年。
「ご、ごめんなさい!
なんかすごく見たことある人だなと思って顔近づけてしまいました!
かわいいなーとかいう変態心で見たわけではなく!いやほんと!」
「………は?」
「いやいやほんと!ほんとだよ!
そんなに疑うなら私のこの瞳を見たま、え……って、あれ?」
名前は少し空いていた距離を再びつめ、顔を近づけ、急に顔を近づけられた少年は、ものすごく興味をもったようなキラキラした瞳で見つめられ戸惑っている。
「な、なに…?」
「わかった!!!!」
「は…?」
「南ちゃんの愛息子!!!」
「な…南ちゃん…?」
「あれ…?違った?」
「ていうか、南ちゃんって何?」
「君、越前リョーマくんじゃないの?」
「そうだけど…もしかして、南ちゃんってオヤジのこと?」
「そう。南ちゃんでしょ?」
「なんなのその呼び方…って、もしかして…!」
「思い出したー?」
嬉しそうに笑う名前。
少年、越前リョーマは、自分の父親の呼び方、そしてその笑顔に、昔の記憶を思い出した。
「―――名前…?」
「ご名答!」
そう、薄れるほど遠い昔の記憶―――
ほんの2、3回しか会ったことがないが、
父親の知人の娘。
―――"初恋"と呼ぶ感情を抱いた人物のことを。
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