「授業終わったー!」
運命を君と。
5.A natural blur
―――放課後
「名前、行くぜ?」
「どこにー?」
「テニス部に決まってるだろぃ?」
お前が言い出したことだろぃ、と呆れながらブン太は名前の手を引いた。
周りで女子の悲鳴に似た声が聞こえるが、ブン太は気にせず手を引いていく。
「目の前でいちゃつきなさんな。」
「いちゃついてねぇよ。」
2人の横へ並び、にやりと怪しげな笑みを浮かべた仁王に、ブン太は素っ気なく返事をした。
三人でテニスコートに向かっていると、ハゲの黒人が目の前に現れた。
「お、ジャッカルやなか。」
「よぉ。そいつが噂の転校生か?ブン太。」
「名前を変な目で見んなジャッカル。」
「見てねぇよ!!」
いきなりそんなことを言われたジャッカルは、いつもより激しい相方の扱いに少しの悲しみを覚えた。
そんなコントをしていると、ブン太の横にいた名前がブン太の袖を引っ張った。
「ブン太ブン太、」
「ん?どうした?」
「私日本語しか喋れない!!
どうしよ!!外国人だーッ!!
あ、でも言語を越えたコミュニケーションってあるよ!!うん!!」
「今普通に日本語喋ってただろぃ。
聞いてなかったのかお前。」
なんともよくわからない会話。彼女は本当に天然なのかもしれない。
仁王は「面白い」と言って、笑っている。
初めて名前を見たジャッカルは、ただ戸惑うしかなかった。
4人でやいやいと話しながらテニスコートへ行くと、こちらに来るのを待っていたであろう真田と柳の姿を見つけた。
「そのおなごが例の転校生か?」
「弦一郎、おなごはもういい。
丸井、お前の幼なじみなのだろう?」
「まぁな。やっぱりもう知ってんだな。」
「あぁ、多少のデータは取れている。」
「さすがだねぇ、うちの参謀は。」
「当然だ。」
柳が名前の方を向くと、名前は口を開けてぽかーんとして柳を見ていた。
「どうかしたか?」
「目、細ッ!!」
「「「ぶっ」」」
何も考えず思ったことをそのまま口に出した名前。
キングオブ天然である。
それを聞いた柳は途端、開眼した。
「「「(怖…っ)」」」
「あはっ可愛いー!」
目を逸らした3人とは裏腹に、開眼した柳を指差し可愛いと言い出した名前に、全員が振り返る。
こいつ、何を言ってるんだ…?という思いだが、ブン太はひとり、あぁ…こういうやつだな、と内心溜息を吐いた。
「名前と言ったか。
お前が我が立海大テニス部のマネージャーに相応しいか検討するため、仮マネージャーとなってもらう。」
「………?」
「む…?どうかしたか?」
今度は真田を見て可愛らしく首を傾けている名前。
首を傾げるその姿に、周りが可愛いなぁと思いながら見ていると、名前は口を開いた。
「参観日ですか?」
「「「ぶっ」」」
二回連続でいけないことを言ってしまった名前だが、周りは笑わずにはいられなかった。
誰しもがこの瞬間突っ込んだであろう。
誰のパパだよと。
きっと赤也辺りだろう…
そんなことを考えていると、ブン太はここにいないメンバーに気付いた。
「そういえばさ、赤也と柳生はどうしたんだ?
いねぇみたいだけど。」
「あぁ。柳生なら委員会の仕事があるそうだ。
赤也は教師に呼び出されていた。」
「赤也め…今朝の朝練といい、たるんどる!!」
「遅れてすんませーん。」
真田のいつもの台詞が聞こえたと同時に、ゆるーい挨拶が聞こえた。
へらへらと調子のいい笑顔でコートへとやってきた赤也に、真田は喝を飛ばそうとした。
「赤也、貴様たるんど「名前先輩!?」
「あ、ワカメ君!!」
「赤也っす」
今来たばかりだというのに親しそうに話す赤也に、少し苛立ちを覚えるブン太。
赤也に喝を与えようとしたのにシカトされ、少し傷付いた真田。
データが、と言って何かをノートに書き出した柳。
面白くなりそうだと口許を上げて笑う仁王。
それを見守るジャッカル。
この立海でのはちゃめちゃな運命は、
まだ始まったばかりである。
next.
<< title >>