二人の様子を見ようとやってきた部室前。
開けようとした瞬間聞こえた『打倒白石ーーー!!』という叫び声に、俺の思考が止まった。
まって、ほんま俺なんかしたか?
なんか気付かんうちにしてもうたんか?
俺は名前が好きや。
もう2年くらいは好きなのに、いまだに片想いを続けている理由は、名前に好きな人がおるかもしれんから。
なんで、なんで小春なんや…
謙也とかならまだわかる。いや、わかりたないけど。
いつもいつも、小春小春ってくっついてる名前。
確かにええやつやけど…本気でこれはつらい。
それでも諦めきれずにアプローチかけてんのに、アホとかボケとか言われるし、極めつけに打倒白石やって?
ほんま、どないしたらええねん。
「ん?何しとんや白石。ぼーっと突っ立って。」
そんなことを悶々と考えていると、後ろから声をかけられて我に返った。振り向くと、さっきちらっと考えた謙也が呆れたような顔で俺を見とった。
「はぁ…なんや、謙也か…」
「なんやってなんやねん!」
「なんやはなんややろ。…はぁ」
「…?どないしたんや、溜め息なんかついて。
溜め息ついたら幸せ逃げてくんやで。」
…なんて能天気なやつなんやと思った。
人の気も知らんで。
まぁ、そこがこいつのええとこかもしれんが。
「なんでもあらへん。謙也がスピード出しすぎて転けたら笑えるわって思っただけや。」
「なんやと?!」
憂さ晴らしに謙也をからかっていると、ガチャッという無機質な音が聞こえ、振り向くと、ドアを開けて固まっている名前が目に入った。
…またや。また謙也…!!!
そもそも部室から出ようとドア開けた途端白石が目に入ってときめいた私の乙女心をどうしてくれる!
謙也とセットとか…!!!
なんで部室前でイチャついてんねん。なんやねん!!
『白石…白石の……』
「…名前…?」
『白石のアホんだらーーー!!!!』
奏
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