じゃあ、何故/h.m 2



北斗side

学校から帰って来てすぐ、

俺の携帯が鳴る。

ディスプレイに出る名前を見て

俺は少し笑顔になる。

"北斗ー!遊ぼー!"

通話ボタンを押すと

俺が喋る隙もなしに喋るあいつ。

いつもの事だからわかってるけど

とりあえず返事してみる。


あいつは俺が絶対に断らないことを

わかってる。

俺がいいよ。と言わなくても

絶対に家へ来る。

正直嬉しい。

だけど俺からの電話には

絶対にでないんだ。

相手にされてない。

そんな事くらい

こんな俺でもわかってる。

あいつは俺を好きじゃない。

好きじゃないだけ。

他の奴のことが好きなんだ。

だけど、だけど、俺はまた

あいつを受け入れてしまう。
ピンポーン。

インターフォンの音が家中に響いた。

鍵を開けると笑顔で"おまたせ!"

と言う。

「北斗。私に会いたかったでしょ?」

北「特に。なまえが会いたかったんだろ?」

「特に。笑」

と言ってニコッと笑う。

その笑顔が、俺にだけに

向けられている。そんな気に

なってしまうような笑顔で

嬉しい反面、悲しくなった。

- 19 -
←前 次→