そのかっこロさよ〜


「…んっ、美味い!我ながら上出来だ!」

晩御飯完成!…っつってもカレーだけど。
合宿で食べるっつったらカレーっしょ!本当は一晩寝かせた方が美味しいけど、これはこれで美味い。

「おぉぉ!カレーの匂いさー」
「まーさんぎさ匂いすっさー」
「腹減った〜!」

練習を終え、合宿用の教室に入ってきた皆。入ると同時にカレーの入った鍋を覗き込む田仁志君、甲斐君、凛君。

「はいは〜い。ご飯にするので、皆手を洗ってきなさ〜い!」

気分は給食のおばちゃん。
皆、はーい!って元気に返事して手を洗っている。

「苗字さん。目が少し腫れていますが、どうしたんですか?」
「あははっ、ちょっとぶつけてしもてん」
「ちゃんと冷やしたば?」

心配そうに知念君が覗き込んで来た。

「うん!大分マシになったし、大丈夫!ありがと、心配してくれて」
「いえ、どういたしまして」
「…気をつけろよ?」

2人も手を洗いに向かった。うちはその間にお皿にカレーを盛り、テーブルに並べる。手を洗った皆が各自の場所へ座って手を合わせた。

「くゎっちーさびらー!」

声を合わせてそう言った。
『くゎっちーさびら』は『いただきます』って意味なんだと木手君が教えてくれた。これで沖縄言葉をまた1つ覚えたぞ!
…にしても、さすが男子中学生。まぁよく食べるよく食べる。多めに作って大正解やな。

「くぬカレー、てーじまーさん!」
「あんまーのよりまーさんさ!」
「…さっきから言ってる『まーさん』って何なん?」
「美味しいと言う意味ですよ」

毎度の事ながら、翻訳ありがとう木手君。

「おかわり!」
「あ、おかわりね!…って田仁志君もう食べたん?!早っっ!」

田仁志君はいっぱい食べるだろうから皆より多めに入れたつもりやったのに…。

「だって、ぃやーのカレーてーじまーさんや!」
「確かに、普通のカレーと少し違いますね?」
「そう?あれちゃうかな、コーヒーいれてるから」
「コーヒー?!そんなの入れるば?」
「うん。入れるとコクが出で美味いんやで!」

田仁志君に大盛りカレーを渡しながら言った。

「へ〜、初めて聞いたさ〜」
「今度試してみ〜!」


その後も皆でワイワイ騒ぎながら食事した。
ほんと、皆良く食べる…。あんなにあったカレーがすっからかんになってしもた。まぁ、部活後やし当たり前か?

「皆、おいしそうに食べてくれたな〜。作った甲斐があるってもんやね」

食器を洗いながら呟いた。
カレーひとつであんなにはしゃいで…って思い出しながら1人笑ってた。

「洗い物手伝うさ〜」
「あっ、知念君。いいよ、疲れてるやろ?ゆっくりしときや」
「大丈夫やさ」

そう言って洗った食器を拭いてくれる。

「知念君って家でも手伝ったりしてるん?」
「たまに。…なんで」
「慣れてる感じするから。あんまやらん子やったら食器落としそうでハラハラするけど、知念君やったら安心できるから」
「…にふぇーでびる」

照れて言う知念君。知念君ってちょっと顔恐いけど、他人に気を使える、ほんま優しい子やな。

「名前〜、一緒にトランプやろうぜ〜!」

凛君がひょっこり顔を出した。手にはディズニー柄のトランプ。
…可愛らしいモンもってるやん!

「おぉ、やるやる!ここ片付けたら行くわ〜!」

そう言うと、分かったと返事して顔を引っ込めた。

「……平古場、ぃやーの事…」
「ん?」
「…いや、何もあらん…」

どうしたんやろう、知念君。何を言おうとしたのか聞きたかったけど、ちょうど洗物も終わって、知念君は先に皆の所に戻った。
…まぁ何でもないって言ってたし、ええか!
手を拭き、トランプをしに皆の下へ向かった。



***



「あいひゃー!またわんの負けさ!」

トランプを始めて30分。只今ババヌキをしております!
さっきから甲斐君が負け通し。だって、顔にすぐでんねんもん…。

「さぁ、罰ゲーム!ゴーヤージュース逝ってみよう!!」

うちは小さいグラスに入れたゴーヤージュースを甲斐君に差し出した。

「うげっ……っっ!!がぁーー!!まじぃ!!」

グラスに入ったジュースを一気に飲み干し、顔を歪めて言った。
何度目だろう、この台詞。…ちょっと可愛そうになってきた。

「もうババヌキやめようぜ!他のにすっさー」

自分が負けてばっかやから、駄々をこね始めた甲斐君。

「じゃあ次何するば?」
「そうやな〜〜……」
「トランプもいいですが、そろそろシャワー浴びた方がよさそうですね」

木手君が立ち上がり言った。もう9時やし、シャワー室1個しかないし、順番に入っていかんと寝んの遅ぉ〜なるしな。

「じゃあ木手君、先に入っておいで〜や」
「んじゃ、わん永四郎の次〜」
「それじゃ、お先に頂きます」

着替えを持ってシャワー室に向かった。

「じゃあ、残ったメンツでざぶとんでもする?」
「ざぶとん?ぬーがそれ?」
「あっ、でもコレも甲斐君不利かも…」
「じゃあ却下!」

色々考え、トーナメント戦のスピードをした。
さすがに皆反射神経凄っ!瞬殺で負けたし!ベベのうちに嬉しそうにゴーヤージュースを差し出す甲斐君。青臭さ漂うジュースを一気に飲み干した!
…いや〜、あんなにマズイなんて思わんかった。二度と御免だ!!


皆シャワーを浴び終え、うちの番になってから気づいた。

「あっ、うち着替え持って着てへん…」
「「えっ?!」」

甲斐君と凛君がビックリして言った。
そうや…差し入れ持ってきて、そのままお泊りになったから何も用意してなかったんや。…どうしよう。
まぁ、誰かに寝巻きは借りたとして、下着よ!下着どうするかやな…確か、シャワー室の前に乾燥機あったよな?入る前に洗ってほり込んだら、あがるまでに乾いてるかな?……何とかなるか?
自己完結させ、田仁志君からTシャツを借りた。さすがに半パンはでか過ぎだから、凛君に借りた。

シャワー室に着いて即行下着を洗い、乾燥機にほりこむ。結構いい乾燥機使ってる。これなら、上がるまでに乾いてるかも!

「うーーん、気持ちいい!今日1日動きっぱなしで汗めっちゃ掻いたからな〜」

シャワーを浴びてると自然と歌を口ずさむ。これ、うちの癖。
お風呂って声が響くから上手く聞こえんねんな〜!


「さっぱりした〜!」

パパッとシャワーを浴び終え、乾燥機を見ると…うん!ちゃんと乾いてる。
下着を履き、借りた服に手を通す。…やっぱ田仁志君のTシャツだけあってデカイ!Tシャツが7分丈になってしもてる。
服を着て、髪の毛をタオルで拭きながら皆のいる部屋へ向かった。…って言っても隣やけど。

「気持ちよかった〜!」

その言葉と共にドアを開けた。皆まだトランプをしていたらしい。

「名前〜、風呂で歌ってただっ――」
「こっちまで丸聞こえだ…た――」

うちの方を見た瞬間言っていた言葉を止め、目を丸くした凛君と甲斐君。

「…どないしたん?何か付いてる?」
「あ……いやっ」
「…名前、そのかっこエロさよ〜」

凛君が頬を少し赤めて言った言葉に、横の甲斐君も無言で頷いた。

「何言ぅてんねん!このチューボーが!」
「そうですよ、2人とも。ゴー―」
「「ゴーヤーは勘弁!!」」

木手君の言葉を読んだのか、遮って2人が言った。

しおり
<<[]>>

[ main ]
ALICE+