寛君と田仁志君も合流して、いざレッスン開始！

「まずは音に慣れる事からやな」
「音に慣れる？」
「そっ。音楽に合わせて体を動かすねん」
「ほ〜」
「最初は簡単に左右にステップな！」

右、左、右、左と音楽に合わせてステップを踏むうちを真似て５人もステップを踏む。
最初は少しぎこちなかったけど、さすが現役中学生。飲み込みが早い早い！
皆どんどんステップ吸収してってる…。
中でも上達が早いのが、意外や意外！田仁志君！！
あの巨体やのにリズム感いいし格好もサマになってるし…人を見た目で判断したらアカンって事やね…。

「皆凄いわ〜！初めてでこんなけ出来たら大したもんやと思うで！」
「こんなのちょろいもんやっしー」
「でも慧君がこんなに踊れるのは正直驚いたさー」

えっ！っと驚いて頭にタオルを被せた田仁志君が小さな瞳を丸くさせてる。

「うちも驚いた！田仁志君かっこええで！」
「…別に大した事あらんし」
「おっ！照れてるん〜？田仁志君よ〜」
「…で、次は何するんば？」

寛君がステップの復習をしながら訪ねてきた。

「一応うちの知ってるステップは教えたから、次は曲に入るで〜！」
「お、いよいよか！」
「でも…うちの踊ってたやつは皆にはちょっと合ってへん気がするから…」
「何でさ〜。やってみないと分からんやし」
「…腰振ったり胸撫でたり誘ったり…やりたい？」

ニヤリとして言ったうちに皆は視線を逸らして嫌だと言った。

「だからちょっと踊りアレンジるすわ！」
「では、一先ず練習はここまでですか?」
「ん〜、そやな。まぁ、そんな時間掛からんと思うから、皆は下でちょー待っといて」
「は〜い、名前先生〜！」

そう言った裕次郎君を先頭に、皆下に降りてった。



***


「1.2.3.4…ん〜、ここはこうした方がええかな…？」

皆が部屋を出て数十分。殆ど振りも出来てきたし、後決めあかんのは〜…。
鏡前でダンスの確認をしてると、ノックする音が聞こえた。返事をすると、ドアが開いて入ってきたんは木手君やった。

「どうですか？」
「殆ど出来たで〜!ごめんな〜待たせてもうて…」
「いえ、構いません。こちらが頼んだ事ですから」

木手君は鏡の前に座って、じっとうちを見てくる。

「…何かじっと見られると恥ずかしいんやけど」
「気にせず練習を続けて下さい」

そんな事言われても…めさめさ気になるっちゅ〜ねん！

「……あっ、そうや！」
「どうしました？」
「持ち時間ってどんくらいなん？」
「15分です」
「そっか〜。じゃあ２曲位やな〜。１曲は盛り上げ曲で、もう１曲は…女の子対象の曲がええかな？」
「そうですね。甲斐君に平古場君をメインに持っていけば注目は集められるはずです」
「じゃあさ――」

木手君との会議が始まった。やっぱ部長だけあって皆の事よく見てる。
１人１人の特性とか教えて貰って各自の位置は決まった。

「じゃあ、センター前を裕次郎君・凛君。サイドを木手君と寛君。センター奥を田仁志君ね！」
「これで大体決まりましたね。後は踊りを覚えるだけです」
「大丈夫！皆飲み込み早いし、リズム感あるし、すぐ覚えられるよ！」
「それは、苗字さんの教え方が上手いからですよ」

クスッと笑って言った木手君。

「そんな事ないって〜」
「謙遜しなくていいですよ。本当にそう思います。…こういうの苗字さんに合ってるんじゃないですか？」
「こういうのって…ダンス教えたりする事？」
「ええ。…ダンスしてる時の苗字さん、とても生き生きしてますよ」

木手君はそっと微笑んでくれた。あまり見せない優しい笑顔で。
うちは照れくさくてありがとうと一言言って頭を掻いた。
…ダンス…かぁ〜……。


「…なぁ、裕次郎」
「ん？」
「あの２人、ぬーがらいい感じやあらに？」
「……」

ドアを少し開け、隙間から中を覗き見ている甲斐と平古場。
名前の様子を見に来れば、木手と仲良さそうに話をしている。

「…どうする？」
「どうする…って…中に入るば？」
「…やしが、なま入ったら永四郎にーゴーヤー食わされそうやさ」
「…やさやさ」
「…ところで、いつまで覗いてるつもりですか。２人とも」
「「！！」」

木手君がドアの方を見てそう言った。見るとドアが少し開いてて誰かが居るのが分かる。
木手君の言葉に、ドアが開かれるとバツが悪そうに裕次郎君と凛君が部屋に入って来た。

「あ〜…別に邪魔する気じゃなかったんだぜ？」
「邪魔？何を言っているんですか？」
「そうやで！入ってくれば良かったのに。皆の立ち位置決まったし、そろそろ練習しよか！」
「そうですね」
「じゃあ、うち寛君と田仁志君呼んで来るわ！」

うちは３人にそう言って、下へ降りて行った。

「…甲斐君、平古場君」
「「あぃ？」」
「後で…ゴーヤーですね」
「「ゲッ！」」

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