…じゃあ、皆泊まるか?


下に居た2人も来て、練習再開。
全体で踊る所はやったけど、やっぱ各自見せ場が合った方がええと思って、今は各パートごとのダンスレッスン!

「ダウン・アップ・ダウン、ダウン・クロスしてターン…そうそう!凛君その流れ!」
「でも、ダウンの時、ぬーがらしっくりこんさー」
「ん〜…肘を少し上げて、物を抱え込む様にして…」
「こうか?」
「そうそう!」
「名前〜、体の向きって斜めの方がいいば?」
「うん!でも、顔は前なー」
「了解!」

今は凛君と裕次郎君のパート練習。メインの2人には気合が入る。
センターど真ん中やからな!かっこよく決めてもらわなあかんし。何より2人が凄い頑張って練習してくれる。
2人の頑張りに答える為にも、うちも一生懸命教えていかな!



***



「もっと腰を曲げて、体は上に伸ばす!上から紐で引っ張られてるイメージで」
「結構難しいですね」
「紐で引っ張られる…紐で引っ張られる」
「そうそう、その一瞬をバン!と出して、後は流れるようにターン」
「苗字ー、この時どうするんば?」
「そうやな〜田仁志君は大きいから勢いよくいった方が魅せられるかな?」
「わかったやさー」

1曲目の振りは大体つかめた様子。後はコレを固めていくだけやな!
練習再開して何時間たったんやろ?時計に目をやると、もう6時を過ぎとった。

「もう6時?!そんな練習してたんや」
「そう言えば、やーさんさー」
「やーさん?極道?」
「極道?!違う違う!腹減ったって意味やさ」
「なるなる。うちもやーさんさー!…よし、皆今日はうちんちで食べて行きや!」
「じゅんにか!」
「皆頑張ってくれてるし、何食べたい?」
「何でもいいさー」
「とにかくやーさんさ。…田仁志なんか燃料切れで動かんやっしー」

座り込んでボーッとしてる田仁志君。
…そう言えば昼も食べてなかったような?…そら燃料切れるわ…よっしゃ、腹にたまるもん作ったろ!
うちら一同は練習を切り上げ、ダイニングに向かった。



***



「「「まーさぎさー!」」」

田仁志君、裕次郎君、凛君が目を光らせて言った。
鉄板の上でジュウジュウと音がたつ。踊るかつお節。部屋に広がるソースの匂い。
そう!今日はお好み焼きや!

「美味そうやろ〜!お好み作るんは得意やねん!」
「やっぱり、大阪の奴ってお好み焼き好きなんば?」
「皆が皆そうって訳ちゃうで?でも、うちは好きやな!週1で食べてんもん」
「週に1回。…飽きないのか?」
「飽きひんで〜。だって美味いもん…って田仁志君!涎こぼさんといてや!」
「へーく!へーく!!」

今にも食い付きそうにお好みを見る田仁志君。…お預け食らってる犬を思わせる。もう、我慢の限界なんやろうな…。

「よし、じゃあ皆熱いうちに食べなさい!」
「「「おーーー!くゎっちーさびらーー!」」」

鉄板に広がるお好み焼きにコテで切り目を入れていく…ってちょっと待って!!

「何でピザみたいに分けるん?!」
「えっ?こうやって分けるやんやー、普通」
「ちゃうちゃう!縦・横の格子やって!」
「わったーはこうやって食べるぜ?」
「…あかん。…それは許さん!!お好みは1口サイズの格子状に分けてコテでそのまま口に運ぶ!これがお好みの食べ方やの!」
「そ、…そうなのか?」
「そう!業に入っては業に従えって言うやろ?」
「ここは沖縄ですけどね…」
「そこ、うるさいよ」

木手君のつっこみをバッサリ切って、皆にお好みの食べ方を教えた。
地方によって食べ方ってちゃうねんな…ビックリしたわ……。

最初はコテで火傷しそうになったりしたけど、うちの指導により、立派な食べ方になった!満足満足!


「くゎっちーさびたん」
「名前、美味かったさー」
「ごちそうさま…」
「ご馳走様でした」
「わんはまだ入るぞ!」

あんなにいっぱい作ったのにぺロっと平らげてしまった。余程腹減っとったんやな…。
うちが洗いもんしてたら、合宿の時みたいに寛君が手伝ってくれた。他の子もやるって言ってくれたけど、そんな空間ないから丁重に断った。
皆ソファーに座ってテレビを見てる。

「腹いっぱいになったら眠くなってきたさー」
「ふわぁぁぁ〜…だな〜」
「……名前〜、今日、泊まていいか?」

ソファーに座ってた凛君が、頭だけこっちに向けて言った。

「泊まり?…別に構わんけど、着替えとかどうするん?」
「取りに帰る」
「じゃあ、2度手間ちゃう?」
「やだ、泊まる」

なんやそら。

「凛が泊まるなら、わんも泊まるさー!」
「…わんも泊まっていいか?」
「裕次郎君に寛君まで…じゃあ、皆泊まるか?」

木手君と田仁志君もうなずいた。
片付けを終えた後、皆着替えを取りに一回家に帰る事に。木手君がどうせならと宿題も持参する事に。
皆で一緒に泊まるのって合宿以来やな!
さあ、…どうなるんかな…?



***



急遽、うちんちでお泊り会が開かれる事になった。着替えと夏休みの宿題を持った皆が次々とやってくる。うちは…その間に準備をしていた――

桃鉄ぅぅぅう!!全国版!

「よぉっし!!うちなーはわんが貰った!」
「ソーキソバ…取られましたか」

リビングにあったゲーム機と桃鉄のソフト!
せっかくのお泊りなんやから皆でわいわいしたいやん!
4人までしか出来んからうちと裕次郎君、寛君と田仁志君は一緒に組んでやる事になった。
言うまでもなく、大盛り上がり!

「うわぁああ!キングボンビーきたぁ!やめてぇぇえ!ボンビラス星に連れて行かんといてぇぇええ!!」
「名前悲惨やっしー!」
「ってさっき凛君がうちに付けたんやろ!」
「これで苗字さんの最下位決定ですね」
「ありえぇえん!!」

ラスト1年。せっかく1位に上り詰めたのに…。
うちが落胆していると、木手君がスリの銀次と出くわし…全額取られましたぁぁああ!!
大爆笑で笑ってる皆。…1人眼鏡を光らせ怒りを露わにする木手君。うちもその姿をみてクスっと笑った。
…まぁ、それでもうちの最下位は変わらん…1回に200億近く取られてってるんやもん…借金地獄になるのも時間の問題…。
うちは一気にやる気を無くし、やけになって冷蔵庫からカクテルを取り出した。

「あぃ?名前酒飲めるば?」
「飲めるで〜。裕次郎君も飲むか?」
「…普通未成年に酒勧めるか?」
「うち酒デビュー小学生やで?」
「早っ!…まぁ、わったーも酒飲めるけどな」
「よく監督につき合わされますしね」

木手君も飲むんや。絶対怒られると思ったんやけど…。

「じゃあええやん!夏休みやし、酒いっぱい置いたぁるし!」
「へ〜何あるば?」
「結構色々。皆見といでや!よ〜し!今日は酒盛りや!」

皆を連れてキッチンに行った。冷蔵庫には各種ビール・カクテル・酎ハイ。
食器棚の上には日本酒・焼酎・ウィスキーなどなど…皆好きな酒とつまみを持ってゲーム再開!…うちはもう最下位やからやる気ないけど…。

「でも…皆、よく泡盛とか飲めるなぁ」
「名前、飲めんば?」
「うん」

ソファーに座ってちびちびカクテルを飲むうちの横で、泡盛、日本酒、焼酎をロックで飲んでる皆。中学生がロックって…。

「名前はお子様やさ。だからカクテル好きなんだな〜」
「ちゃうねん!日本酒とか焼酎飲んだ事あんねんけど、友達にもう飲むな!って言われてしもて」
「…飲んで何があったば?」
「分からんねん、それが。記憶飛んでしもてて〜」
「へぇ〜、ちょっと見てみたいやっさー」
「…なんとなくヤダ」

皆顔色ひとつ変えずに酒を飲む飲む…本当に中学生か?
まぁ強い子はほんまに強いしな…。うちもそんな弱くはないけど、すぐ顔に出る。…そしてすぐ眠たくなる。…あれ?じゃあ弱いんかな?
どっちにしても!今は皆と楽しくゲームしてるんやし、眠気なんかに負けへんでぇ!


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未成年の飲酒を推奨するものではありません。

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