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「八神」

「源田先生、まだなにかありました?」

「さおりくんの件とは別なんだがよ。
最近、なまえに言い寄ってる野郎がいるみてぇなんだが。なんか知らねえか?」

「はい?」


俺の親父でもある源田先生が最近特に気にかけているのがなまえだ。まぁそれに関して俺も海藤さんも同じなんだけど。
なまえはさおりさんより無愛想だ。これは本人に言うと「普通です。」って返されるし、さおりさんには睨まれるんだけど。
そんな愛想もないのにするっと懐に入ってくる気安さに、俺たちは彼女に対して猫のような愛らしさを感じているのだと思う。


「えっ?…オレさっき会いましたけど別に普通で…。

ちなみにどんな野郎が?」

先生曰く、ため息をついていることが多くなり、休憩時間にいつもなら神室町に無数にある飲食店での外食が多かったのに最近はずっとお弁当を作ってくるか階下のコンビニで買ってきて所内に戻って食べているとか。
理由を聞けば、「面倒な人がいる」と答えたと言う。

「俺じゃ相談しにくいかと思ってよ、さおりくんや星野くんにそれとなく聞いてくれって頼んだらよ、」

「言い寄ってきて面倒な人がいる、って言ったんですね」

「そうだ」

なまえは街を歩いているだけで、目を惹かれるくらいには美人だ。
確かに話せば愛想は無いし、口調は冷たい。
一度一緒に歩いている時にしつこい男に話しかけられて、「うるせえな」と返していたくらいには冷ややかだ。
その上になまえはガードが硬い。
話しかけるなオーラも出すし、それを掻い潜って話しかけてきた相手には冷ややかな塩対応。当然無視だってする。なんだったらまるで汚いものを見る目で睨まれる。
無理矢理すべてを通り越してどこかに連れて行こうとする相手には手を出すこともしばしば。
そんななまえに言い寄っておいて、"面倒"と称される相手。俄然気になってきた。


「あー……まぁオレも気になるし、なまえの様子もみておきますよ」

「…跡、尾けるのか」


「まぁ…多少は?」


「バレても俺はしらねえぞ」

「先生、オレこれでも探偵ですよ?そんなヘマしませんって。
じゃ、もういきますね。」




「…バカだねぇ」