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「神室町で発砲事件…」
ニュース原稿を読む女性キャスターの真剣な面持ちを横目で見ながら身支度を整える。
「ヤクザ同士の抗争か。ーーーか、危なくなってきたかな」
出勤前の毎朝見ている彼女の顔つきがパッと明るくなり、動物園にパンダが産まれた!というニューステロップに変わった。
すごい技術だなぁ、なんて自分の表情筋が動かないからか、羨ましい気持ちになる。
それにしても物騒な歓楽街である。
毎日何かしらの事件事故が多発する街であり、現在の勤務先であり、……ある意味では故郷だ。
今日もその街へ行くし、明日もそうだ。
「おはようございますーー……?」
「あっなまえちゃん!」
「みょうじさん!」
「なまえ」
入室と同時に3人に囲まれた。
にこやかに「おはよう!」なんて言ってくる藤井検事と、そこから視線は星野くん、さおりさんと流れたもののどうして星野くんは縮こまってるんだろう。
「ケーキ食べたの誰、って………どーーーーーーでもいいです。
すみませんけど私はいないものとして扱ってください。事務処理溜まってるんで」
「そっそんな!助けてくださいよ!」
「えぇ?なまえちゃんって結構薄情なのね」
「なまえは食べてないみたいですしやっぱり星野くんでしょう」
横目で騒ぐ3人を見ながら、今日のタスクをこなす。この前の松金組の件でうちはひっきりなしに忙しいのだ。依頼は殺到、それに伴って事務処理する手が足りない。
まぁその事務処理だけでは飽き足らず、調査案件まで多数を抱えている状態。源田先生が請け負えると判断したんだろうけど。
だから、そんなタイミングでケーキだなんだと言っている時間が惜しい。
ていうかまた買えばいいのに。言ってくれれば代わりに買いに行くけどな、とは口に出さない。今はそう言う問題じゃないって飛び火しそうだからだ。
それにしても発砲事件で街はいつもより騒がしいし、松金組のある七福通り東はとんでもない殺気を放っているし、街で見かける如何にもな方々も増えた。
それなのにこの事務所はなんて平和なのだろうか。もうちょっと神室町に居を構えているという自覚を持ってほしい。
「八神さん来てくれたんですね!」
「八神くん」
しばらく騒いでいる声が聞こえないくらいの集中をしているともう一つ声が増えたことに気がつく。
八神さんいるし。星野くん、なりふり構わず必死だ。
まぁ、本当に食べてないんだろうけど私は知らない。見てない。聞こえてない。
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「みょうじさんには失望しました。助けてくれないし無視するし」
「…」
「僕が近くであんなに責められていたのに無視して仕事してるし」
「…」
「…星野くん、聞こえてないのでは?」
「……聞こえてはいますけど、今ちょっとそれどころじゃないんで」
「ホラ!みょうじさんは僕のことどうでもいいんです!本当に無実だったのに!気にもしてくれない!」
「……ハァ。星野先生、城崎先生」
「なんですか!」
「はい?」
「仕事してください」
「…う、はい」
「ごめんなさい」
本当に、もう少し緊張感を持ってくれ。