君が消えない、心から。


どうしたって忘れられそうにもない。

あの夜のことを忘れるなんて、できるはずがない。

君を自分の嫉妬心と一緒に抱いて、俺は改めて自分の気持ちを知ったんだから。


君を目の前にすると、自分のことが恥ずかしくなるくらいに不器用になってしまう。

歳を重ねて少しくらいは変わったと思っていたが、やっぱり君のこととなると特別らしい。

俺の言葉ひとつで嬉しそうな顔をしたり、困ったような顔になったりする君を見ていると、どうしても甘やかしてやりたくなったり、意地悪をしたくもなる。

そして、そんな自分が嫌いじゃないとも思う。


君はきっと知らないだろうけど俺は結構、独占欲が強い方だ。





今日は、少し虫の居所が悪い。

原因は分かっている。


昨夜、永井や仲のいい後輩たちと酒を飲んだのはいいが飲み過ぎてしまい、体調がすこぶる優れなかった。

「頭、いってえ……クソっ」

やっとの思いで出勤してきた沖田は、小隊の事務所で部隊の予定表や書類を広げたままの自分の机に突っ伏していた。

今日さえ終われば明日と明後日は休みだと自分に言い聞かせて何とか乗り切ろうと試みるが、どうにもこうにも頭が痛くて堪らない。


「沖田さん、大丈夫っすかー?」


「おう……。お前は、ピンピンしてんな……」


羨ましそうに沖田が言うと、永井はニカッと笑った。


「少し頭が痛いっすけど、沖田さんほどじゃないですね」


「お前、実はザルだろ」


「いやー、そこまでじゃないっすよ」


そんな会話をしながらも、沖田は机から起き上がれないままだった。


二日酔いなど久しぶりだった。

普段ならこんな失態はしないのだが昨日に限っては、いつにも増して盛り上がっていたこともあり、完全に油断をしていた。

いつもよりハイペースで飲んでしまったことを、今更ながら後悔した。


「おはようございまーす……って沖田さん、大丈夫ですか?」


小隊事務所の扉を開けて、中にいる先輩たちに挨拶しながら心配そうに声をかけてきたのは、後輩であり恋人の七子であった。

「おはよう。ちょっと昨日やり過ぎてさ……多分夕方までこうだから、気にしないでくれ」

七子の声を聞くだけで頭痛が消えていくような気がしたが、沖田は力なく笑うとその痛みに耐えながら体を起こした。


「おはよー、七子……てか珍しいっすよね、沖田さんがそうなるって」


永井が沖田に話しかけると、彼は机に広げたままにしてある回覧されてきた書類に目を通しながら言った。


「調子乗るんじゃなかった」


「あはは、今日が飲みだったら明日休みだから良かったんすけどね」


「あの……ランニング用に買ってたスポドリ、あげますよ」


「そうなんだよなあ……。すまん……助かるわ、七子」


こうしていつものように朝礼までの時間を潰していると、他の隊員たちもぞろぞろと集まってきた。


「あ、七子。この間言ってた模擬試験の小論文だけどさ……小隊長が良く書けてるって褒めてたぞ」


すると先輩たちに声をかけられ、そちらへ行ってしまう。
書類を眺めながらその光景をぼんやりと見ていた沖田だったが、先程よりも更に落ち込んだ様子を見せた。

いつものように朝の挨拶をして、何気ない会話を交わしたいだけなのにそれができない。

「え、本当ですか! やったー!」

嬉しそうに声を上げる七子の姿を見ると、胸の奥が締め付けられるようだった。

七子はみんなに可愛がられていて、こんなやり取りも日常的だったが、沖田にはそんな姿を見るのも辛かった。

そのせいなのか、それとも単に二日酔いのせいなのか分からないが、頭が痛くて仕方がない。


「まあ、俺も褒められたけどなあー」


「……永井士長、そんなこと言ってるからモテないんじゃないんですか?」


「あ? 七子、俺のこと馬鹿にしすぎだろ!」


「いや、だって……ホントのことじゃないですかー!」


「ぅおい! 言ったなあ!」


すると永井は椅子から立ち上がって彼女に近付くと、七子のこめかみをグリグリと拳で押し始めた。


「お仕置きじゃあ!」


「痛い、いたいー」


そんな楽しそうにしている七子の声が聞こえてくると、余計に気分が悪くなる気がした。

確かに七子と付き合っていると部隊の誰にも言ってないのが悪いのだが、それを含めても勝手に嫉妬しているようで自分が情けなかった。

別に誰かが彼女のことを取ろうとしている訳ではないのに、自分以外の人とそうしていることが気になって仕方なかった。


いい年こいてどうせ自分は子供っぽいですよ、と心の中で呟きながらもそれでもやはり面白くはない。

だが同時に、他の男の前であんな風に無防備になる彼女を見てると不安にもなるのだ。


七子は自分のものだと叫びたくなる衝動を抑えるように、沖田は自分の腕を掴む。

そして彼は自分の感情を持て余したまま、ただ黙っていた。


すると朝礼の時間になり、隊員たちが続々と外の朝礼場に向かっていたので、沖田もなんとか立ち上がるとフラつきながらも事務所を後にした。




そして課業も終わって、沖田の具合も朝よりだいぶ良くなってきた頃、彼は小隊事務所に忘れ物を取りに戻って来ていた。

外から射し込む夕日で廊下はオレンジ色に染まり、遠くの方からは明日のラッパ手だろうか練習をしている音が聞こえる。


そして事務所に着いて扉に手をかけようとした時、誰かの話し声が耳に入ってきた。

何を話しているのかは分からないが、ガラス戸から恐る恐る覗くと事務所の中には七子と永井の姿があった。
二人は何かの資料を見ながら話をしていて、沖田は思わず息を殺してしまった。

盗み聞きするつもりはなかったが、なんとなく入るタイミングを逃してしまい、そのまま立ち尽くしていた。


すると永井が七子の頬に手を添えて、親指でなぞると彼女を見つめている。

(嘘だろ……)

沖田は咄嵯に身を隠し、自分の心臓の鼓動だけが嫌にうるさく感じた。


この後、七子と会う約束をしているのに、こんな現場を目撃してしまうなんて最悪だと頭を抱えたくなった。

しかしながら忘れ物は大した物でもないため、沖田は諦めて踵を返す。

このままここにいても仕方ないし、何よりも早くここから去りたかったからというのもあった。


沖田は彼女たちが、先輩後輩であること以外の関係を知らない。
二人が自分のいない所で、どんな風に過ごしてきたかも知らない。

だからこそあんな場面を見て、沖田はショックを受けずにはいられなかった。


何よりも自分が見ていないところで、七子が他の男に触れられるのは許せなかった。




そして沖田はそんな気持ちを抱えたまま、七子を家に招き入れて二人で過ごしていた。

ひとり暮らしにはちょうどいいワンルームの部屋には、生活必需品以外に家具はなく片付いていて少し殺風景だ。


沖田はベッドに座ってテレビをつけながらスマホを触っていたが、隣にいる七子が何も言わないので気まずかった。

いつもならこの時間になると、他愛もない会話をしながら一緒に映画を見たりするのだが、今日に限ってはそれがない。

しかしそんな気まずさを感じているのは自分だけかもしれないと、平静を装って口を開く。


「七子、何か飲む?」


「えー? あ、買い置きしてた炭酸水まだあったっけ?」


「確か、あるよ」


彼女が普段通りの様子で返事をしたことにほっとして立ち上がると、廊下を挟んだキッチンへと向かう。

七子に言われて冷蔵庫を開けると、確かに炭酸水が数本ほど冷えていた。


「はい。どうぞ、七子」


「ありがとう」


取り出したペットボトルを手渡すと、受け取った彼女がキャップを開けきる前にプシュッという小気味いい音がした。


そうして飲み始めた七子の横顔を見ながら、沖田も自分の分を飲み始めた。

ふいに七子の顔を見ると、目が合う。


「どしたの?」


不思議そうな顔をする彼女に何と答えていいか分からず、ただ見つめていると彼女は困ったように笑みを浮かべた。


「あのさ……今日の夕方、見ちまったんだよな」


何をとは聞かずとも分かるだろう。

その言葉だけで十分だったのか、七子は目を逸らすことなくこちらを見返した。

彼女の視線に耐えきれず沖田は俯くが、このまま沈黙している訳にもいかないので、彼は口を開いた。


「七子、さっき事務所で永井と何してたんだよ……こうやってさ」


彼は七子の肩を抱き寄せて、彼と同じように頬を指で優しくなぞる。

すると彼女は驚いた表情をして彼を見た。


「あれは……」


沖田の瞳はいつもの優しいものと違って、どこか切なげだった。

その視線に七子が見惚れていると、彼が少し屈んで顔を近づけたので、七子は慌てて目を閉じた。


そして沖田は七子の唇を奪う。

彼女は引き剥がそうとして彼の胸を押すも、びくともしない。
しかしそれは一瞬ですぐに解放され、彼は悪戯な笑みを浮かべている。

七子は自分の口元を押さえて、頬を赤らめる。


「沖田さん……聞いてっ!」


言いかけたところで、また口を塞がれてしまう。

最初は触れるだけのキスだったが、すぐに沖田は舌を差し入れた。


彼女は驚いて身を引こうとするが、彼はそれを逃がさない。
そして逃げる彼女の舌を追いかけるように絡めていく。


「んっ……! んふ……」


彼の手は七子の後頭部に添えられていて、逃げられないように固定されていた。

やがて彼女は観念したのか、それとも抵抗する力がなくなったのか、されるがままになっていく。

すると沖田は満足そうに微笑み、ようやく彼女を解放した。


「嫌だ……。もう、優しくなんてしてられねえよ」


すると七子は呼吸を整えようとしながら、涙目になっている。

そんな彼女が可愛くて仕方ないと思ったが、それでもまだ足りなかった。


七子の耳元に顔を寄せると、まるで悪魔のような甘い声で囁いた。


「ずっと、俺だけを見ててくれよ……」


そう言って彼女に覆い被さり、今度は首筋に吸い付いた。
彼女の白い肌に赤い印をつけると、それを確認するかのように何度も舐め上げる。

「んっ……!」

その度に七子は身体を震わせて反応し、声を上げる。
それがまた沖田を刺激してしまい、彼は夢中で痕をつけていった。

「あぁ……、やめて……!」

そしてそのまま舌を這わせて鎖骨まで辿ると、そこにも強く吸い付いて跡を残した。


さらに胸元の服のボタンを外し、その隙間から手を滑り込ませると下着の上から胸に触れた。

柔らかさを堪能するように揉んでいると、七子が恥ずかしそうに声を上げる。

「んっ……ぃやぁ……沖田、さんっ……」

しかしそれは拒絶ではなく、むしろ彼を煽るものだった。

沖田はその手を止めることなく動かし続けながら、もう片方の手で器用に自分の服を脱いでいく。

上半身裸になると彼の引き締まった身体に見惚れているのか、七子が頬を染めていた。


「どうした? そんなに、こっち見てさ」


「な、なんでもないっ……!」


「可愛い……」


思わず呟くと、彼女はますます赤くなって視線を外す。

その姿を見ただけで興奮してしまいそうになるが、なんとか抑え込んでもう一度唇を重ねた。


すると沖田はそのまま七子の背中に手を回し、ブラジャーのホックに手をかける。

それを慣れた様子で外すと、彼女の大きな乳房が現れた。


その先端を指先で軽く触れると、すぐに硬く尖ってくる。

そこを口に含んで転がすように愛撫しているうちに、次第に彼女からは甘い吐息しか聞こえなくなった。

「あ……んっ、あん……」

だが沖田はまだ足りないという風に口付けを続けていく。

先端を吸ったり甘噛みしたりしていると、やがて彼女の腰は誘うように揺れ始めた。

「あっ、だめぇ……」

沖田はそれに気をよくすると、さらに歯を立てた。
痛みに身体を震わせる七子のことなどお構いなしに、執拗にそこを攻め立てる。

彼が刺激を与える度に、七子の身体がビクビクと跳ねた。

「ひゃっ、あぅ……あんっ!」

そしてもう片方の先端を指で摘んでから捻ると七子が一際高い声を上げ、沖田はニヤリと笑う。

そのまま両方の突起を指で同時に責めると、七子が頭を振りながら身悶えている。

「あッ、ああッ! だめ……ッ!」

「駄目じゃないだろ?」

沖田が意地悪そうな顔で言うと、七子は潤ませた瞳で彼を見つめた。

彼の手はスカートの中へ潜り込み、ショーツの上を撫で回している。
既にそこは湿っていて、沖田が手を動かすたびにぬるぬるとした感触が伝わってくる。

「んっ……ぁあん……」

沖田がショーツの上から割れ目に指をあてがい、ゆっくりと動かし始めると、七子の口から吐息が漏れ始めた。

沖田はそんな七子の反応を楽しみつつ、徐々に動きを早めていく。


すると彼女は切なげな表情を浮かべて、沖田の腕を掴んだ。

しかし沖田がそれを気にすることなく、優しくクリトリスを擦っていると、七子が腰を動かし始めた。
沖田の手に自分の秘部を押し付けるような仕草に、彼は思わず笑みをこぼす。

「ほらな……気持ちいいんだろ?」

沖田はそう言うと、彼女の反応を楽しむように指の動きをさらに激しくした。

「……あ、ん……だってぇ」

布越しでもわかるほどに濡れそぼったソコを指先で弄ぶと、彼女は沖田の胸にしがみついて喘ぎ続けた。


「はぁ、んんッ! 沖田さ……ん、もぅ……だめぇ……!」


沖田はそんな彼女を見下ろして妖しく微笑むと、耳元に唇を寄せて囁いた。


「イッちゃえよ」


沖田が指をグリっと秘蕾へとめり込ませたその瞬間、七子は全身を大きく痙攣させて達してしまった。


「ぁあっ、……んんッ!!」


そして七子はぐったりと脱力すると、荒くなった呼吸を整えようとする。


しかし沖田は休む暇を与えずに彼女の下着を剥ぎ取り、両足を広げさせた。

「いやっ……」

絶頂を迎えたばかりの敏感すぎる七子はこれから何をされるのか察したのか、慌てて足を閉じようとしたが、沖田の力には敵わない。

「駄目だって。足閉じんな」

そして次の瞬間、沖田は七子の蜜壺に指を差し入れた。

熱く蕩けきっていたそこは、沖田の太い中指を難なく受け入れてしまう。


沖田は膣内を確かめるようにぐるりと掻き回すと、すぐに二本目の薬指を追加した。

それからバラバラに指を動かすと、七子のナカは、嬉しそうに収縮し始める。


「……七子、今日すごい濡れてる」


「んっ、あぁ……言わない、で」


七子は頬を染めながら、恥ずかしそうに顔を背けた。

それが自分との行為によるものだと思うと堪らなくなり、沖田はさらに激しく責め立てた。

二本の指を出し入れしたり曲げたりしながら奥の方を刺激すると、七子の声が大きくなる。


「いやらしいよな、こんなに音出して」


「いやぁ……、んっ!」


沖田はわざと水音を響かせるようにして、指を出し入れする。
その度にクチュクチュと卑猥な音が響き、二人の興奮を煽っていく。


そして沖田は入口の近くの内壁を掻き出したり、押し込んだりして様々な刺激を与えていく。


「俺以外に、こんなことさせるなよ……七子?」


「んっ……ふぅ、あッ……ぁあッ!」


沖田の問いに答える余裕もなく、七子は彼の腕を強く掴んで押し寄せる快楽の波に耐えている。

それを見た沖田は、意地悪く口角を上げて、さらに指の動きを速めた。
すると七子の身体がビクビクと跳ね上がり、限界が近いことを知らせる。


「あッ、だめ! ゆび、動かさないでぇ!」


沖田は七子の言葉を無視して、もう片方の親指で陰核を押し潰しながら、激しく抜き差しを繰り返した。

その刺激に耐えきれず、七子は呆気無く果ててしまった。


「んッ、ああ……ッ!!」


ぷしゅっと勢いよく吹き出た潮が、沖田の手を汚していく。


こんなにも自分の指で感じている七子が、裏切るはずはないと分かっているのに苛立ちを抑えられない。

沖田はそんな自分に嫌気が差していたが、この感情を抑えることはできないだろう。

それほどまでに、沖田は七子を愛していたのだった。


そして彼はそのまま先程と同じように、七子の秘部に指を突き立てた。

まだ絶頂の余韻に浸っている七子は、突然襲ってきた強い快感に目を見開く。

沖田はそんな彼女を気にすることなく一気に指を挿入すると、再びGスポットを擦り上げていく。


「おき、たさんッ……! ま、また……出ちゃう……ッ!」


沖田は泣きそうな顔で訴える七子を嘲笑いながら、容赦なく責め立て続ける。


「あっ、あっ……待って、んあッ!」


沖田が指を動かすたびに、結合部からは糸を引きながら愛液が流れ出し、シーツに大きな染みを作っていく。

しかし、それでも彼は手を止めようとしない。

むしろ動きはさらに激しさを増していき、沖田はクリトリスを強く摘み上げる。


「あッ、ああん……ッ! んッ!」


同時に与えられた強烈な快楽に、七子の腰が浮き上がり始める。


「だめッ! ……いやッ!!」


そしてまたもや七子は達してしまったようで、ビクビクと身体を痙攣させていた。

「あぁ……ん、うぅ……」

しかし沖田は休むことなく、今度はクリトリスを親指で押し潰していく。


すると七子は悲鳴に近い声を上げて身体を大きく仰け反らせた。


「……いやぁぁッ!!」


そして次の瞬間、彼女の秘部からは再び大量の透明な液体が溢れ出した。

それは沖田の手だけでなくベッドにまで飛び散り、辺り一面を濡らしていった。
その様子を見た沖田は満足げに微笑むと、ゆっくりと指を抜き取った。


「七子、綺麗だよ……」


彼女の瞳は涙で潤んでおり、頬も紅潮している。
その姿はとても美しくて艶やかだった。


すると沖田は、七子の秘口から溢れる愛液で濡れた手を舐め上げた。

その光景を見た彼女は恥ずかしそうに顔を背けるも、抵抗する様子はない。


そんな彼女の秘部は物足りなさそうにヒクつき、新たな刺激を求めていた。

彼女の両足を大きく開かせ、そして自身のベルトに手をかけると、カチャリという金属音が部屋に響く。

沖田はスラックスと下着を脱ぎ捨てると、硬く勃ち上がった陰茎を露わにした。


それは引き締まった腹につくほど反り返り、先端からは先走りを滲ませてテラテラ光っていた。

沖田はそれを掴むと、七子の大きく開いた股の中心にある秘口へと持っていく。

そして彼女の蜜壺のぬるぬるとした割れ目に、腰をゆるく振って熱い棒の裏筋を擦り付けながら、耳元に唇を寄せ囁く。


「七子、俺が欲しいの?」


その声は熱を帯びていて、吐息交じりだった。

七子は普段と違う沖田の声色にドキリとし、胸が大きく高鳴る。


彼女は頬を赤く染めながら、小さくコクンとうなずいた。
沖田はそれに答えるように優しくキスを落とす。


「いいよ」


それから七子の膝の裏を抱え込むと、ぐいっと持ち上げ、自分の肩に乗せた。


「ち、違ッ! このままじゃな……!」


そしてそのまま覆い被さるようにして、沖田は自身の剛直を七子の中に突き入れた。


「…………ぁあんッ!!」


その瞬間、彼女は身体を仰け反らせながら甲高い声で喘いだ。

いつもより敏感になっているのか、挿れただけで軽く達してしまったようだ。

沖田は前髪をかきあげてそんな七子の様子を眺めながら微笑むと、ゆっくりと腰を動かし始めた。

彼の動きに合わせて、ベッドもギシギシと軋んだ音を立てる。


「七子のナカ、熱っつい」


そしてすぐに沖田は、激しいピストン運動で奥の方まで突いてきた。

子宮口を何度もノックされ、その度に七子はビクビクと痙攣する。


「やぁ……ッ、おくっ……だめッ!!」


「ここか?」


「あぁんッ!!」


沖田はその反応を楽しむかのようにニヤリとすると、さらに強く打ちつけてくる。

七子はその衝撃に耐えきれず、涙をこぼしていた。

肌と肌が激しくぶつかり合う音と、粘膜同士が絡みつくような水音が部屋中に響き渡る。


「ねぇ……ぁんッ!! おきた、さんっ! ゴムをッ」


沖田は七子の言葉を無視して、さらに激しく攻め立てる。

「やぁッ、だめぇ!」

沖田の背中にしがみ付きながら、必死で抵抗する。

しかし、そんなものは無意味だ。
七子の弱いところなど、もう全て知り尽くしている。

「逃げんなよ、七子」

そして七子を後ろ向きにさせると両手を掴んで、そのまま尻を突き出す体勢を取らせると七子は恥ずかしそうに顔を赤らめて、こちらを振り向いてきた。

その色気のある艶っぽい表情を見た途端、沖田の中心はさらに硬度を増していった。

彼はそのまま背後から一気に貫き、最奥まで押し込んだ。


「ああッ……! いやぁ!!」


七子の口からは甘い悲鳴が上がり、膣内がキュッと締まる。


「七子、そんなに締めて……ナカに出して欲しいの?」


「ちがっ……!」


七子はその問いに頭を横に振るが、無意識のうちに腰が揺れていることに本人は気づいていないだろう。

結合部からは泡立った愛液がトロリと垂れながら落ちて、シーツに大きな染みを作っている。

沖田は興奮を抑えきれず、腰の動きをさらに早めていく。

「あっ! ダメッ! あんッ!!」

パンッ、パチュンッとお互いの肌を打つ乾いた音と共に、結合部からは淫靡な水音が響いている。



もう誰にも渡したくない。

俺だけのものにしたい。

もう、いっそこのまま……孕ませてしまいたい。


「七子……!」


沖田は彼女の名前を囁くと、その細い腰を掴んで何度も何度も奥へと打ち付けるように腰を動かした。


「ああんッ! 激し……ッ!!」


「七子、好きだよ。愛してる」


耳元でそう呟けば、彼女の中はきゅうっと締まり、まるで精液を搾り取るかのようにうねる。

その感覚に沖田は眉根を寄せて、激しく腰を振り続けるが限界を感じ、ラストスパートをかけるべくピストンを速めた。

「アッ! あんッ!! ぅ、ぐっ……!」

そして子宮口に先端を押しつけるようにしてぐりぐりと掻き回すと、七子はビクビクと痙攣しながら絶頂を迎えた。


「ぁあ……くッ、ヤバい……!」


その瞬間、沖田は慌てて自身を引き抜くと陰茎から勢いよく放たれた白濁が、彼女の背中へと降り注いでいく。


「はぁ、はぁ……」


七子の背中には白い飛沫が広がり、それはそのままお尻の方へ流れ落ちて行った。


沖田は七子の背中を優しく拭き取り仰向けに寝かせると、沖田はそのまま横に寝転ぶと唇を重ねる。

すると瞳に涙を浮かべた七子は沖田の首に腕を回し、自ら舌を差し出してくる。
彼はそれに答えるように絡め取り、唾液を交換しながら夢中で貪った。


そして唇が離れると七子は沖田の頬に手を当て、熱っぽい視線を向ける。

そして、ゆっくりと口を開いた。


「不安にさせて、ごめんね……?」


七子は沖田の目を見つめながら、優しく微笑んだ。

「あれは、本当に何でもなくて。永井士長が、ほっぺたに付いてた汚れを取ってくれただけだから」

それから彼女は沖田の胸板に顔を埋め、甘えるように擦り寄ってきた。

その仕草が可愛らしくて、沖田は思わず笑みがこぼれてしまう。


「ああ……信じる。俺も具合悪いだけで酷いことばっか考えてた、ごめん……」


先程までの嫉妬心や独占欲が嘘のように消え去り、今はただ七子への愛しさだけが溢れてくる。

七子の身体を抱きしめながら首筋に吸い付くと、赤い痕が付いた。
沖田はそれを指でなぞって満足げな表情を見せると、今度は彼女を起こして向かい合う体勢になるよう促す。

そして七子を抱きしめると、沖田は彼女の頭を撫でながら額にキスを落とした。


「七子、愛してる」


彼女は嬉しそうに目を細めると、沖田の背中に手を回した。


「私も、愛してます」




七子の唇から紡がれる甘い声も、快楽を登り詰めていくその妖艶な表情も、全て自分だけが知っていると思うと心は満たされていく。


ずっとこの時間が続けばいいのにと願わずにはいられなかった。






fin.




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