独白


いつの時代だって出会いと言うものは思いがけなくやって来るものだ。


よく言われるのは見えない磁力に引き寄せられるようにと表現されて、その言葉通りにお互いが出会うらしいのだ。


まさしく、運命で結ばれた二人というものである。


そんなに都合良く行く訳ないと思う人もいるだろうが、実際問題としてそのくらいロマンチックな話の方が信じられる人が多い。

しかしそんな人に出会えるものだろうか、と俺は思っていた。



そして、その出会いと別れに代表される季節……春。

ちょうど思ってもみないようなタイミングで、俺は彼女と顔を合わせた。


今考えると、やっぱりそうなんじゃないかと思う。


必然のうちに二人は出会ってそうなるべくしてそうなった、と。



偶然だと言われてしまえばそれまでだが、俺は必然だと思っていたい。


否。



二人のことは自分たちにしか分からないし、彼女と歩んできた軌跡を偶然だと一蹴されてしまうような、そんな薄っぺらい季節を過ごしてきた覚えはこの方ない。


だから、必然だと断言しよう。



ただ……それは君が、俺に出会えて良かったと思っていて欲しいから。

君が、俺に出会えて幸せだったと思っていて欲しいから。


俺がこんなことを口にしたら、君は笑うかもしれない。

でも、俺はいつも不安だった。

君の笑顔の裏には一体どんな気持ちがあるのかと。
俺の知らないところで、君は傷ついていたかもしれない。

そう思うだけで胸が痛むんだ。

だけど君は、いつでも俺の前で笑っていた。
それが俺にとってどれだけ救いになっていたか、きっと君は知る由もないのだろうけど……。


俺は君を、守れているんだろうか?

それとも、ただ支えられているだけなんだろうか?

この先ずっと、君を守り続けることができるんだろうか?


答えはまだ出ていないけれど、それでも信じたい。

二人で一緒にいる未来を。
俺たちなら大丈夫だという、自信を持って言える日が来ることを。


君を前にすると一辺倒な理詰めも通用しないし、こんな弱気なことしか言えないがそれはとっくに君は気付いているだろうね。

この前、会った時にも伝えたとは思うが……。
何度だって言おう。


―君のことを、心の底から愛してる。





幼少の頃の淡い記憶を遡り、探り探り二人で紡いできた。



七子の記憶を取り戻すまでの物語。














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