消えてしまった者たちへ
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  • 目を覚まして

    「ハリー……?」

     目を覚ましたハリーはその白い天井に一瞬混乱した。しかし、降ってきた声はとても馴染みのある安心するものだ。

    「はー…まいおにー……?」
    「大丈夫?今、水を……」

     ハリーはケホっと渇いた咳をする。酷く喉が渇いていた。コポコポと水を注ぐ音が聞こえた。ゆっくり上体を起こすと、ハーマイオニーの隣にはラミアが立っていた。

    「はい。ゆっくり飲んで」
    「ん………。ありがとう、ハーマイオニー」
    「体調はどうですか?ハリー」
    「あ、大丈夫です」

     ハリーは未だ覚醒しない頭で考えた。どうして自分は医務室に?そして目を見開いた。

    「シリウスとルーピン先生は?!ワームテールも!」
    「落ち着いて、ハリー。心配はいらないわ」
    「シリウスは目を覚まし、ワームテールは私が捕まえましたよ。まあ、スキャバーズだと思って捕獲したんですけどね。………リーマスはあそこです」

     ラミアの視線の先にはカーテンに囲まれた一番端のベッド。

    「今は眠っていますよ。シリウスは先ほど校長室に行きました」
    「じゃ、じゃあシリウスは無実を?!」
    「今、魔法大臣が校長室でその話をしているはずですよ。ほぼ無実は確定するでしょうね」

     体から気が抜けていくのがわかった。なんとなく隣のベッドを見ればロンがいつものようにぐっすり眠っている。

    「ロンの骨折もすぐに治るそうよ。苦い薬を飲んで眠ってしまったわ」
    「ちなみにもうお昼ですから。サンドイッチを持ってきましたよ」

     ラミアはバスケットをベッドの上にあげた。かぼちゃジュースの香りもする。

    「少しお腹にいれてもう一度眠りなさい。細かい話はまたしてあげますよ。………ほら、ハーマイオニーもですよ。疲れているんですから、ゆっくり眠りなさい」

     ラミアは二人の頭を撫でた。ハリーは一瞬、母親がいたらこんな感じなのかと無意識に感じた。




    「ハリー、目を覚ましたか」
    「シリウス!!」

     サンドイッチを食べお腹も膨れてきたころ、医務室にシリウスがやって来た。相変わらず長くぼさぼさの髪も汚れた格好も変わらないが、表情は晴れやかなものになっていた。

    「無罪放免だよ。全て君たちのおかげだ。本当にありがとう」

     シリウスは満面の笑みでハリーとハーマイオニーの頭をなでる。ラミアとは違う豪快な撫で方だ。

    「じゃあ、一緒に暮らせるの?シリウスと一緒に?」
    「ああ!私の一人で暮らしていた家がまだ残っているはずだからね、そこで暮らそう!」

     ハリーはあの意地の悪い叔父さん達から解放されると思うと、とても幸せな気持ちになれた。今年の夏休みは今までにない最高のものになるだろう。

    「感動の約束の中、申し訳ありませんが」
    「どうしたんですか?ラミア先生」
    「夏休みの最初の一週間はハリー、あなたの叔父の家に戻ってもらいますよ」
    「え?!どうして?!」

     帰ったって意味がない、ハリーはそう思った。

    「必要だからです。一週間すれば誰かが迎えに行きますよ、多分」
    「多分って……!そんな!」

     ハリーは全く納得できなかった。折角シリウスと楽しい夏休みが送れると思ったのにとんだ伏兵がいた。

    「しょうがなさ、ハリー。もし一週間たっても誰も迎えにいかなかったら私が行くから、待っていなさい」
    「それは駄目です」
    「「どうして?!」」
    「決まってますよ、シリウス。あなたじゃハリーの親族に挨拶もしない間に呪いをかけかねないですから。」

     ラミアは呆れたように言った。しかし、あの家族に呪いをかけてくれるなら万々歳だ。しかしまたアズカバンに連れていかれても困るのも事実で。

    「大丈夫だよ、シリウス。迎えに来てもらえなかったら、自分から夜の騎士バスに乗っていくから。」

     ハリーは冗談交じりに言ったが、内心最悪それでもいいかと画策した。

    「まあ、無茶はしないように」

     ラミアはまた呆れ、シリウスは笑っていた。

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