好きと得意
今度のクィディッチでハリーは骨をなくしたらしい。どんなプレーをしたのかと聞けば、ブラッジャーに追いかけられ腕を折られた上、ロックハートにその骨を抜かれてしまったらしい。本当に迷惑な魔法使いである。
そしてその日の夜、第二の犠牲者がでた。マグル生まれでグリフィンドール1年生のコリン・クリービーである。なんでもハリーのファンだったとかで、カメラを持ったまま石になってしまったという。
マグル生まれが狙われている。
私は早くあれを完成させなければ。
それから数日後、セブルスに呼び出しを受けた。
「[今日の夜8時、大広間へ]、ねぇ。」
実に怪しかったが無視できるほど強くない私は、時間ぴったりに大広間へ向かった。
長机を撤去された大広間には大勢の生徒がいる。
「おお!ラミア!来てくれましたか!」
「げ……。Mr.ロックハート………」
人混みの中心にいたのは、あの胡散臭い魔法使いだった。
「これは、なにを………?」
「決闘クラブですよ!最近物騒ですからね」
「決闘………」
きっとロックハートは気づいていないだろう。私の目の色が一瞬にして変わったことに。
まず初めに行われたロックハート対セブルスは悲惨だった。全く勝負になっていない。そこでセブルスは私の方を向き、手招きした。
「私がやっていいの?もしかしたら、鈍ってるかもよ」
「生徒たちに一度、本当の決闘というものを感じてもらわねば。第一君が鈍るなんてことあり得ないだろう」
セブルスは不敵に笑った。ロックハートは何か言いたげだったが、私は目も向けない。
そして私とセブルスの決闘がロックハートの合図で始まった。
「それでは三つ数えます。いち、にの、…………さん!」
「ステューピファイ!」
「エクスペリアームズ!」
先に呪文を唱えたのはセブルスだ。二つの光線はぶつかり合い相殺される。
「アグアメンティ!」
「インセンディオ!」
炎と水がぶつかり、水蒸気が立ち上る。生徒の悲鳴が耳に入った。
「インペディメンタ!」
「プロテゴ!」
私の妨害呪文をセブルスは盾の呪文で防ぐ。ただ、私はこれでは終わらせない。
「コンフリンゴ!」
「っ………!」
「エクスペリアームス!」
私の武装解除呪文はセブルスに直撃し、その杖が私の元へ飛んでくる。
「私の勝ちだね、セブルス」
「………そのようだな」
私は杖をキャッチすると不敵に笑った。
周りを見渡せば、生徒たちは皆ポカーンと口を開けている。とても間抜けだ。
「すげぇ………………」
ちいさな呟きが大広間に響いた瞬間、生徒たちの歓声が起こった。
「今のが決闘!?」
「すごい緊張感だった」
「あのスネイプが負けた!」
「さすがだぜ、セルウィン教授!」
暫くその歓声は収まらなかった。
「ラミア先生って強かったんだな!」
「すげーぜ!」
ステージから降りた私に、ウィーズリーの双子が近づいてきた。
「私、決闘好きですから。それに私とセブルスでは相性が良くないので、セブルスが不利になります」
「そうなのか?」
「ええ。簡単に言えば魔力の質と量の問題ですよ。まあ、面倒なので解説はしませんが」
「え!?」
私はセブルスに杖を返すと、大広間から出た。ロックハートがなぜか自分の自慢を始めた上に私の方へ向かってきたからだ。
ひとまずその場から離れることに成功したが、離れるべきではなかったらしい。